運動とスポーツの科学
Online ISSN : 2435-9912
Print ISSN : 1342-1026
原著論文
A case study of kendo club management in China: Effects and challenges of converting to a multiple-sports club
Yanglei LiuMasayuki Sano
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2025 年 30 巻 2 号 p. 51-68

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抄録

近年、中国で経営上の課題を抱える剣道場が、活動の対象を複数種目へと広げて多種目型スポーツクラブとして経営される事例がみられるようになった。この転換がクラブの経営に及ぼす効果と課題を具体的に明らかにすることは、今後の剣道の国際的な普及を展望する上で重要である。そこで本研究では、インタビューとアンケートにより、中国において多種目型スポーツクラブ化した剣道場の代表例と言えるAスポーツクラブのマネジメント実態を調査し、経営学における多角化の視点から経営上の効果と課題を明らかにした。

研究の結果、Aスポーツクラブが多種目型スポーツクラブとなる以前の剣道場は、長期的な会員数の停滞による収入不足、剣道のみに依存することによるリスク、施設の不十分な活用、広告活動の非効率性という課題を抱えており、これらの課題が多種目型スポーツクラブ化するに至る動機となっていたことが明らかになった。これらの動機はいずれも経営学において多角化戦略の動機とされる内容と一致していた。

また、Aスポーツクラブは多種目型スポーツクラブ化により、固定費のコスト削減、範囲の経済性の達成、リスクの分散、結合利益の創出などの効果を得られたことが示された。一方で、ブランドイメージの低下による事業フォーカスの欠如、情報共有の低さに起因する非効率的な資源配分による価格競争力の低下といった課題を抱えていることも明らかにされた。

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