Journal of Pesticide Science
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植物による農薬の取り込みと土壌から水抽出される農薬との関係
元木 裕 岩船 敬清家 伸康大谷 卓秋山 嘉大
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2015 年 40 巻 4 号 p. 175-183

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抄録

コマツナ茎葉部の農薬濃度と逐次抽出法で求めた土壌中の農薬濃度との関係を,8種類の農薬および4種類の土壌について調査した.コマツナ茎葉部の農薬濃度は,土壌から抽出された全農薬濃度よりも,水抽出された農薬濃度との間でより高い正の相関を示した.また,農薬の処理日から播種日までの期間(Soil-aging periods, SAPs)の違いがコマツナ茎葉部の農薬濃度に及ぼす影響を検討した.コマツナ茎葉部の農薬濃度および土壌から水抽出された農薬濃度は,SAPが長いほど低い値を示した.以上より,水抽出された土壌中の農薬濃度から作物中の農薬濃度を推定し,さらに適切なSAPを設定することで,土壌残留農薬による作物の汚染を防止できる可能性が示された.しかし,コマツナ茎葉部の農薬濃度と土壌から水抽出された農薬濃度の相関,および長期のSAP設定によるコマツナ茎葉部の農薬濃度の低減効果は,農薬の種類によって異なっていた.このため,土壌の水抽出法の適用性は,調査対象の各農薬について検証する必要があると考えられた.

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© 2015 日本農薬学会
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