Journal of Pesticide Science
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残留農薬分析における通知法とQuEChERS法のマトリックス成分の比較
杉立 久仁代 山下 和之中村 貞夫
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2015 年 40 巻 4 号 p. 200-207

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抄録
QuEChERS法はその簡便さから日本でも関心が高いが,通知法と比較した場合にどの程度精製度が異なるかを調べた知見はない.そこで,種々の試料を用い,各々の前処理を施した検液中のマトリックス成分について調べた.マトリックス成分を調べるのにあたり,メタボロミクスの手法を適用した.その結果,QuEChERS法では糖類,フラボノイド化合物,脂肪酸が除去できていないことが明らかとなった.糖類,フラボノイド類が除去できないのは緩衝液の不足あるいは脱水の不十分さが原因と考えられた.脂肪酸の場合は分散型SPEを使用するため,イオン交換機能の十分に発揮されないことが原因だと推測された.さらに抹茶中のカフェインやトウガラシ中のカプサイシン類,ショウガ中のジンゲロール類など作物に特有の成分はどちらの前処理でも除去できていないことも明らかとなった.
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© 2015 日本農薬学会
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