Journal of Pesticide Science
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殺菌剤ゲアザチンのガラス表面での光分解
佐藤 清加藤 保博牧 伸一俣野 修身後藤 真康
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1985 年 10 巻 1 号 p. 91-100

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抄録

殺菌剤グアザチン・三酢酸塩 (TA) の14C-標識体を約0.5μg/cm2の割合でガラス表面に薄膜状に塗布し, これに陽光ランプを照射したところ, 14C-グアザチン・TAは見かけ上, 二相性の反応に従って比較的すみやかに分解した (第一相のT1/2=40時間, 第二相のT1/2=912時間). 14C-グアザチンの分解にともない, 主光分解物 (Pm) と約8種の微量光分解物が生成した. 照射336時間後におけるPmと微量光分解物 (総計) の生成量はそれぞれ31%と38% (14C-グアザチン・TA相当量) であった. 自然太陽光の照射による14C-グアザチン・TAの光分解は, 質的・量的に陽光ランプによるものと同一とみなしうるものであった. Pmは, そのグアニジン基をピリミジン誘導体としたのち機器分析 (GC-MS, IR, 1H NMR) を行ない, グアザチンの4位のメチレン基が光酸化によりカルボニル基となり, さらに3位または5位のメチレンがメチル化された物質と同定された. また微量光分解物中の一種として, 1個のメチレンがカルボニル基に光酸化された物質が同定され, これはグアザチンからPmを生成する過程での中間体と考えられた.

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