Journal of Pesticide Science
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ナシ黒斑病菌およびトウモロコシ黒穂病菌の細胞内容物漏出に及ぼすアルテリシジンの影響
アルテリシジンの作用機構 (第3報)
切貫 武代司市場 常男
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1986 年 11 巻 3 号 p. 453-458

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抄録
アルテリシジン複合物 (AC) の細胞内容物の漏出に及ぼす作用について, ナシ黒斑病菌 (Alternaria kikuchiana) およびトウモロコシ黒穂病菌 (Ustilago maydis) を用いて検討した.
ACは 14C-protein hydrolysate または 14C-glucose で前処理したナシ黒斑病菌菌体および胞子, またはトウモロコシ黒穂病菌小生子から14C-標識化合物に由来する物質の漏出を著しく引き起こした. しかもこれら物質の大部分は処理後1時間までに細胞外液へ漏出した.
一方, ナシ黒斑病菌菌体において, AC20ppm処理でタンパク質の漏出は顕著で処理後4~6時間で最高となった. 胞子では8ppm処理でアンスロン陽性物質の漏出が著しく, 処理後4時間で最高に達した.
トウモロコシ黒穂病菌ではAC4ppm処理でニンヒドリン陽性物質, タンパク質およびアンスロン陽性物質の漏出が顕著であった.
以上の結果は前報の走査型電子顕微鏡による形態変化の観察結果とよく対応し, ACは細胞壁に作用して膜透過性の異常を引き起こした また, これら機能障害の程度はACの濃度に依存することが示唆された.
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© 日本農薬学会
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