1988 年 13 巻 2 号 p. 283-286
寄主アワヨトウ幼虫の糞, 噛み跡, 脱皮殻中には, カリヤサムライコマユバチを寄主生息域内に留めておく作用をもつ定着因子が含まれている. 定着因子がカリヤサムライコマユバチの寄生率に及ぼす影響を, 合成した定着因子 (2,5-dihexadecyltetrahydrofuran) を用いて調べた. 実験室内およびガラス室内に人為的に寄主アワヨトウの生息域を設け, そこにカリヤサムライコマユバチを放飼し寄生率を調べた (対照区). 処理区では, 寄主生息域を合成定着因子であらかじめ処理した後に蜂を放飼した. 両放飼実験において, 定着因子を処理した区のほうが高い寄生率を示し, 定着因子 (カイロモン) とカリヤサムライコマユバチを用いたアワヨトウ管理の可能性が示唆された.