Journal of Pesticide Science
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ピレスロイド系殺虫剤S-4068SFのラットにおける代謝
斯波 久二雄角田 紀子金子 秀雄中塚 巌吉武 彬山田 宏彦宮本 純之
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1988 年 13 巻 4 号 p. 557-569

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抄録

新規ピレスロイド系殺虫剤S-4068SF [Etoc®, (S)-2-methyl-4-oxo-3-(2-propynyl)cyclopent-2-enyl(1R)-trans/cis-chrysanthemate, (traps/cis=8/2)] の代謝運命を明らかとするため, (4S, 1R)-trans-または (4S, 1R)-cis-S-4068のアルコール側14C標識体を2mg/kgの割合で, 雌雄ラットに1回経口または皮下投与した. 放射能は, 投与後7日問で完全に糞尿中に排泄された. 血液および組織中14C濃度は, 経口投与後3時間以内に最大値を示したのち, 生物学的半減期は, 投与後3時間から12時間まで3時間ないし5時間, 12時間から48時間まで7時間ないし35時間で減少した. 投与7日後の組織残留量は, 全般的に低値を示した. 排泄物中, 20種類の代謝物を同定し, 代謝経路を以下のように推定した. 1) 酸側イソブテニルのメチル基およびアルコール側プロピニル基の1位および2位の酸化, 2) エステル結合の開裂, 3) 以上の結果生成した化合物のグルクロン酸または硫酸による抱合. 両異性体の代謝運命に, 雌雄および投与経路によらず顕著な差異を認めなかった.

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