Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
バチルス・チューリンゲンシスの産生する結晶毒素の毒性試験の概要
東亜合成化学工業株式会社生化学研究部
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 14 巻 3 号 p. 415-419

詳細
抄録

バチルス・チューリンゲンシスの産生する結晶毒素 (別名: δ-endotoxin) の安全性評価のため各種の毒性試験を実施した.
その結果, 本有効成分の哺乳動物に対する急性毒性はきわめて低く, 普通物相当であり, 眼および皮膚に対する刺激性は認められなかった. しかし, 弱い皮膚感作性は有した. 一方, 亜急性毒性はきわめて弱く, 慢性毒性試験では高投与群 (30,000ppm) で, 血液生化学検査における軽微な変化や, 体重の増加抑制傾向が若干見られはしたが, 特定の病変はなく, 発がん性も認められなかった. また, 繁殖に及ぼす影響および催奇形性も認められず, 変異原性も陰性であった.
以上より, バチルス・チューリンゲンシスの産生する結晶毒素はきわめて安全性の高い物質に属するものであり, 農業用資材として有用であると考えられる.

著者関連情報
© 日本農薬学会
前の記事 次の記事
feedback
Top