1993 年 18 巻 4 号 p. 281-284
感受性および abamectin 抵抗性イエバエに対する [3H]abamectin の結合性を比較した. 頭部と胸部神経球では, 両系統において, 神経球摘出後の胸部に比べ結合部位の密度が高く, 解離定数 (KD) が大きかった. 感受性および抵抗性系統間における唯一の差異は, わずかではあったが, 有意に抵抗性系統の神経球摘出後胸部において, 受容体密度 (Bmax) が低いことであった. 両系統イエバエにおいて, picrotoxinin, dieldrin, muscimol, Ro5-4864および, 4-tert-butyl-1-(4-cyanophenyl)-trioxabicyclo[2.2.2]octane が [3H]abamectin の結合性に影響を与えないことは, abamectin の結合部位が, これらの化合物とは異なっていることを示唆するものである. 殺虫試験の結果, abamectin 抵抗性系統は 4-tert-butyl-1-(4-ethynylphenyl)trioxabicyclo[2.2.2]-octane に対し, 交差抵抗性を示さなかった.