Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
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ISSN-L : 0385-1559
18 巻, 4 号
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  • 波多野 連平, Jeffrey G. SCOTT
    1993 年 18 巻 4 号 p. 281-284
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    感受性および abamectin 抵抗性イエバエに対する [3H]abamectin の結合性を比較した. 頭部と胸部神経球では, 両系統において, 神経球摘出後の胸部に比べ結合部位の密度が高く, 解離定数 (KD) が大きかった. 感受性および抵抗性系統間における唯一の差異は, わずかではあったが, 有意に抵抗性系統の神経球摘出後胸部において, 受容体密度 (Bmax) が低いことであった. 両系統イエバエにおいて, picrotoxinin, dieldrin, muscimol, Ro5-4864および, 4-tert-butyl-1-(4-cyanophenyl)-trioxabicyclo[2.2.2]octane が [3H]abamectin の結合性に影響を与えないことは, abamectin の結合部位が, これらの化合物とは異なっていることを示唆するものである. 殺虫試験の結果, abamectin 抵抗性系統は 4-tert-butyl-1-(4-ethynylphenyl)trioxabicyclo[2.2.2]-octane に対し, 交差抵抗性を示さなかった.
  • 巣山 弘介, 山本 広基, 黒川 順司, 駒田 旦
    1993 年 18 巻 4 号 p. 285-292
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    畑地土壌中におけるセルロース分解過程に及ぼす殺菌剤クロロタロニル (ダコニール® 1000) の土壌灌注施用の影響およびその持続性を25℃および13℃の温度条件下で容器内試験により評価した. 施用直後の土壌にセルロースシートを埋設した場合, 25℃では5倍量以上, 13℃では常用量以上の施用区でセルロース分解の遅延が認められ, シート上の糸状菌相は対照区のそれとは明らかに異なった. また, 施用10週間後にシートを埋設した場合には, 25℃では5倍量以下の施用区で分解の遅延は認められなかったが, 糸状菌相の回復は不完全であった. 一方, 13℃で対照区のシート上に培養期間を通じて優占する糸状菌の優占度および頻度が施用区では低下することが低温下におけるセルロース分解に及ぼす供試農薬の遅延的影響の機構であると推察された. その菌は, 供試農薬の標的病原菌の一つである Rhizoctonia solani であることから, 低温下におけるセルロース分解の遅延は現象的には side-effect である一方, 機構的には標的微生物の減少あるいは不活性化であると推察される. これらの結果より, 土壌生態系に及ぼす農薬の影響およびその持続期間を評価するにあたっては, 温度等の環境要因ならびに影響発現機構に関する十分な配慮が必要であることが示された.
  • Roongnapa KORPRADITSKUL, 片山 新太, 鍬塚 昭三
    1993 年 18 巻 4 号 p. 293-298
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    アトラジン分解細菌RK014株とRK016株がそれぞれ安城土壌 (日本) および Pak Chong 土壌 (タイ) から単離された. RK014株はグラム陰性の胞子を形成しない非発酵性かん菌であった. RK016株は Bacillus 属細菌と同定された. 10分の1希釈の普通ブイヨン培地中で, 定常期にある細菌によりアトラジンは分解された. 急速な分解には, 108~109cfu/ml以上の高い初期菌密度が必要であった. pH条件が5よりも8のほうが分解速度が高かった. Deethylatrazine が両菌株の主要代謝産物であった. このようなアトラジン分解細菌の性質が, 広く土壌申に105MPN/g土壌で分解菌が存在するにもかかわらず, 土壌中でのアトラジンの微生物分解が非常に遅い原因となっていることが示唆された.
  • イネの誘導防御機構における反応力スケードの因果律に関する研究 (第12報)
    加納 大聖, 芳賀 実, 岩田 道顕, 関沢 泰治
    1993 年 18 巻 4 号 p. 299-308
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    これまでの実験的傍証から, プロベナゾールの作用点の一つは, エリシター刺激に応答する葉身細胞の膜情報伝達系とそれに共役してO-2生成酵素とホスホリパーゼA2を活性化する極早期の細胞内情報伝達系のいずれかの機能素子にあると考えられてきた. この作用点の特定には, 未知の膜情報伝達系と, 共役する細胞内情報伝達系の大要を知る必要がある. 本報では, ネオマイシンB, GTP-γ-S, ホスホリパーゼC, ジルチアゼム, ニフェジピン, およびベラパミールなどの分子プローブを用い, 付傷法によって薬剤処理後エリシター刺激する方法で, O-2生成およびα-リノレン酸放出動態を指標とし, 一方でエリシター刺激した葉身プロトプラストを用いて, 酵素免疫法によるPIP2の動態, および特異的結合アッセイによるIP3の動態を調べた. 探査実験結果を総合考察し, このエリシター認識により作動する膜情報伝達系として, ホスホリパーゼC系を推定した.
  • 萩原 健司, 斎藤 健司, 飯浜 照幸, 川名 貴, 保坂 秀夫
    1993 年 18 巻 4 号 p. 309-318
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    新規に開発された合成法により得られた3-アリールイミノ-1,2,4-チアジアゾール縮合ヘテロ環類が除草活性を示すことを見い出した. その活性と構造との関連を各種誘導体を合成して検討したところ, これら一連の化合物はベンゼン環置換基の構造活性相関や除草特性においてテトラヒドロフタルイミド系除草剤と類似性が見られた. これらの化合物が作用場面においてすでにテトラヒドロフタルイミド類と類似した除草特性で知られている2-アリール-1,2,4-トリアゾール-3-チオン環に転位しているかをチェックするために, 酸または塩基触媒での加水分解と光分解試験を実施した. その結果, それぞれの分解条件において数種の化合物が単離されたが, 2-アリール-1,2,4-トリアゾール-3-チオン類は見い出されなかった. 化学的な条件下では3-アリールイミノ-1,2,4-チアジアゾール環から2-アリール-1,2,4-トリアゾール-3-チオン環への転位は起こりにくいものと推定された.
  • イネもみ枯細菌病に対するオキソリニック酸の作用機構 (第1報)
    曳地 康史
    1993 年 18 巻 4 号 p. 319-324
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas glumae の生存は, イネ苗本田移植後から最高分げつ期にかけて根, 地際部および下位葉鞘で認められた. 止葉葉鞘などの上位部に生存する P. glumae 細菌数は穂ばらみ期に増加し, もみに生存する細菌数は出穂期間中に著しく増加した. 最高分げつ期のイネ体に生存する P. glumae 細菌数が多いと, 穂ばらみ期の上位部に生存する細菌数と出穂期間中のもみに生存する細菌数の増加が著しくなり, イネもみ枯細菌病が激しく発病した. オキソリニック酸 (5-ethyl-5,8-dihydro-8-oxo[1,3]dioxolo[4,5-g]quinoline-7-carboxylic acid, スターナ®) の出穂期処理は, もみにおける P. glumae 細菌数の増加を抑制し, イネもみ枯細菌病に対して高い防除効果を示した. 以上の結果から, イネもみ枯細菌病の発病は出穂時のもみに生存する P. glnmnae 細菌数の増加に依存しており, もみに生存する細菌数は, 最高分げつ期のイネ体に生存する細菌数に左右される穂ばらみ期の上位部に生存する細菌数に影響を受けることが明らかとなった.
  • イネの誘導防御機構における反応力スケードの因果律に関する研究 (第13報)
    加納 大聖, 芳賀 実, 関沢 泰治
    1993 年 18 巻 4 号 p. 325-332
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    前報に続き, イネ葉身細胞の膜情報伝達系に共役するO-2生成酸素系およびホスホリパーゼA2 (本研究における二つの指標) の活性化反応に係わる細胞内情報伝達系を探査した. 分子プローブとしてW-7, オフィオボリンA, TPA, H-7, およびスタウロスポリンなどを用い, 前報と同様の計画の下で探査を行ない, Ca2+調節タンパク質 (CaMあるいはCDPK) が両指標の活性化反応に重要な役割を果たすこと, プロテインキナーゼが関与するならCa2+-CaM依存性プロテインキナーゼあるいはCa2+CDPKによるものと推定した. なお, ホスホリパーゼA2の活性化反応の制御には未知の制御経路が介在している可能性を推考した. 1,2-ベンツイソチアゾール-3(2H)-オン1,1-ジオキシドは早期相においてO-2生成を高進させ,α-リノレン酸放出を後期相で著しく高進させた. プロベナゾールがプライミング効果剤として付与する全身獲得抵抗性での両指標が, エリシター刺激のみによる型と異なることが注目された. 同様の機能を有するNCIはPIターンオーバを加速することが最近報告されたので, 前報および本報による知見とともに, 総合考察し, この種の非殺菌性防除剤の作用部位はイネ葉身細胞の膜情報伝達系 (ホスホリパーゼC系) に存在すると推定された.
  • 片木 敏行
    1993 年 18 巻 4 号 p. 333-341
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    500Wキセノンランプによる14C-フェンプロパスリン (I) の土壌薄層表面での光分解を牛久, 野市, 栃木土壌について実施した. 空気乾燥した薄層表面でIの分解は著しく, 主分解物としてシアノ基の加水分解によってIのアミドとカルボキシル誘導体が生成したが, 水分含量が最大飽和容水量の50%以上では土壌代謝の場合と同様にエステル開裂が主に進行した. 光照射によるIの分解促進はわずかであること, オーブン乾燥土壌や有機物を除去した土壌での分解と大差のないことから, Iの分解は主として土壌中の粘土成分による暗反応であり, 水分含量に伴って変化する粘土表面の酸性度によってシアノ基の加水反応によるIの分解速度が左右定れるものと推定定れた.
  • 片木 敏行
    1993 年 18 巻 4 号 p. 343-351
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    [14C]trans-tetramethrin (I) の25±1℃での加水分解速度はHPLC分析により, 4.08~4.99×10-7 sec-1 (pH 5), 7.82~8.75×10-6 sec-1 (pH 7), 6.02~8.62×10-4 sec-1 (pH 9) と求められ, 塩基触媒的に分解することがわかった. HPLC, 2D-TLC, LC-MS (APCI & Frit-FAB, 正負イオンモード) 分析によりIは, イミド環の開裂により水中で不安定なIのアミド酸を生成し, さらにエステル結合の開裂により trans-菊酸とアルコール部分由来の水中で不安定なアミド酸に分解することがわかった. アルコール部分はクロモトロピック酸を用いた吸光法により, ホルムアルデヒドと3,4,5,6-テトラヒドロフタルアミド酸に分解し, 最終的には対応するジカルボン酸にまで分解することが明らかとなった.
  • 片山 新太, 藤村 佳樹, 鍬塚 昭三
    1993 年 18 巻 4 号 p. 353-359
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Bacillus 属細菌B75および未同定グラム不定かん菌B116は1/10希釈ブイヨン中に10ng/mlから100ng/mlというきわめて低濃度で存在するDDT (1,1,1-trichloro-2,2-bis(4-4chlorophenyl)ethane) を分解した. DDTの88%以上が2週間の培養で分解した. DDE (1,1-trichloro-2,2-bis(4-chlorophenyl)ethylene) やDDD (1,1-dichloro-2,2-bis(4-chlorophenyl)-ethane) およびその他のアセトン・ヘキサン可溶の代謝産物の種類・割合は, B116の場合の割合を除けば, DDT濃度による影響はなかった. DDTの大部分が非常に低濃度でも48時間以内に細菌に吸着した. このことは, 一般に低濃度化合物の分解の律速段階となる化合物の細胞への取り込みが, DDTの場合はならないことを示している. これらのことから, 他の炭素源およびエネルギー源の存在下のDDTの細菌による分解には域値濃度はないことが示された.
  • 岡野 夏子, 村上 学, 宮本 美子, 小泉 和也, 小川 人士, 若林 攻
    1993 年 18 巻 4 号 p. 361-368
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン系化合物は, 硝酸化成抑制剤としての効果が知られている. 本研究では, 新規トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン系硝酸化成抑制剤を求めて, 合成, 硝酸化成抑制効果の測定および定量的構造活性相関を行なった. トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン系化合物は, ルイス酸触媒を用いた (共) 三量化反応およびトリクロロメチル-1,3,5-トリアジン系化合物の求核置換反応により合成した. 硝酸化成抑制効果は, 畑土壌を用いて硝酸菌に対する阻害効果を測定することによって求めた. 高活性を示す化合物は, pI50が4.5~5.5であり, (アルキル) アミノ基およびトリクロロメチル基を必ず一つもつものであった. また, 半経験的計算法によって求めた疎水性パラメータlog P(S) と, 硝酸化成抑制効果pI50との間に良好な相関が見られ, 最適log P(S) は2.91であることがわかった. また前報での最適log Pが約2.4であったことから, 今後トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン系硝酸化成抑制剤を検索するにあたっては, log P(S) が3以下の化合物を分子設計することにより, 高活性の化合物を得ることが期待できる.
  • 荻野 千冬, 星 利信, 飯田 哲司, 小浦 誠吾, 小川 人士, 河野 均, 佐藤 幸治, 高井 真, 若林 攻
    1993 年 18 巻 4 号 p. 369-373
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    18種のチアジアゾリジンとトリアゾリジンを合成し, それらの植物毒性を Echinochloa utilis, Scenedesmus acutus を用いて検討した. これら化合物は既知の peroxidizing 除草剤と同様に, 光照射下で Scenedesmus においてその成育を阻害し, クロロフィル含量を減少させプロトポルフィリン-IXを蓄積し, エタンを発生した. また, 光照射下で Echinochloa の根伸長を抑制した. 以上の結果から, 両化合物群は peroxidizing 除草活性を示すことが判明した. すなわち, 両者はクロロフィル生合成系の酵素活性を阻害し, その結果蓄積する物質が関与して生じる酸素ラジカルによってチラコイド膜が破壊されてエタンを発生する作用機構をもつと考えられる. また, チアジアゾリジンとトリアゾリジンの間で活性が近かったことから, チアジアゾリジンの活性は, チアジアゾリジンからトリアゾリジンへの異性化に基づくものと考えられる.
  • 今井 哲弥, 内田 俊郎, 山口 国夫, 高尾 久, 後藤 武司
    1993 年 18 巻 4 号 p. 375-380
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    OK-8705およびOK-8801は分子内に1個の不斉炭素を有する (RS)-1-(4-メトキシフェノキシ)-3,3-ジメチル-2-ブタノールから合成され, ラセミ体から成るイミダゾール系殺菌剤である. 本稿ではアルコール異性体の絶体構造を Mosher らの方法により決定し, 各異性体から合成したOK-8705およびOK-8801光学異性体の灰色かび病菌, ばか苗病菌に対する抗菌活性を検討した. (R)-OK-8705および (R)-OK-8801はそれらの (S)-異性体に比べ in vitro 試験で灰色かび病菌に対し, それぞれ513, 265倍活性が強かった. 一方, ばか苗病菌に対しても (R)-OK-8705および (R)-OK-8801はそれぞれ38, 143倍強い活性を示した. 以上の結果よりOK-8705およびOK-8801の活性に主として関与しているのは, (R)-異性体であることが明らかとなった.
  • 土壌 aryl acylamidases に関する研究 (第3報)
    持田 和男, 中村 利家, 李 文新, 尾添 嘉久
    1993 年 18 巻 4 号 p. 381-384
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    土壌から分離した coryneform グループに属する細菌 (A-1株) の産生する aryl acylamidase は, 基質アセトアニリドとのインキュベーション下で著しく活性化されるだけでなく, それを低温下で放置することで不活性化された酵素はアセトアニリドとの繰り返し処理によって再び活性化された. このアセトアニリドによる可逆的活性化の酵素反応速度論的解析を行ない, その機構としてアセトアニリドによる活性化は低活性型の酵素-基質複合体が高活性型のそれへ, また不活性化は高活性型の遊離酵素が低活性型のそれへ変化する過程で起こることを提示した. この低活性型から高活性型の酵素複合体への変換は, 酵素の構造変化を伴うものと考察した.
  • 吉田 充, 行本 峰子
    1993 年 18 巻 4 号 p. 385-387
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    イソプロチオランの植物生長調節作用機構を明らかにするために, プロトンNMR緩和時間法を用いてイネ幼苗根細胞膜の水透過性に及ぼす本剤の影響を測定し, 根の伸長に対する作用との関係を調べた. イソプロチオランは, 根の伸長を促進する6ppm近辺の濃度で根細胞の水透過性を高め, 根の伸長を阻害する50ppm以上の濃度で水透過を抑制した. このことより, ムレ苗防止などイソプロチオランの植物生長調節作用にはこの根の水透過性の変化が関与していると考えられる. なおエチレン, インドール酢酸は, 根の伸長に影響を及ぼす濃度においても水透過性は変化させず, イソプロチオランの作用発現にこれらのホルモンが介在しているという証拠は得られなかった.
  • 宗岡 洋二郎
    1993 年 18 巻 4 号 p. S191-S199
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 嘉田 良平
    1993 年 18 巻 4 号 p. S201-S206
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 大塚薬品工業株式会社開発研究部
    1993 年 18 巻 4 号 p. S209-S211
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    硫酸タリウムの安全性評価のため各種毒性試験を行なった.
    その結果, 原体の急性毒性はやや高かったが製剤の急性毒性は比較的低く, とくに急性経皮毒性はマウス, ラットとも2000mg/kg以上と低いものになっている. しかし殺そ剤としての製剤も, 0.3%以下で黒色に着色されトウガラシエキスで着味されたもの以外は現在劇物に指定されている.
    製剤のウサギに対する眼一次刺激性試験では, 1%粒剤は非洗眼, 洗眼とも「最小限度の刺激性物質」, 2%液剤は非洗眼, 洗眼とも「無刺激性物質」と分類された.
    製剤のウサギに対する皮膚一次刺激性試験では, 1%粒剤は「無刺激性物質」, 2%液剤は「軽度の刺激性物質」と分類された.
    皮膚感作性試験においては, 1%粒剤, 2%液剤ともモルモットの皮膚に対して感作性のない物質であると判断された.
    変異原性を評価するために行なった復帰変異原性試験では, 硫酸タリウム原体に遺伝子突然変異誘発性はないと判断された.
    0.3%以上の製剤は劇物に指定されているが, 1%粒剤, 2%液剤とも比較的急性毒性は低い. 非標的動物に対する注意を十分に払い, 定められた使用法, 使用基準を遵守し, 適正に使用すれば安全性は十分確保できる有用な農薬の一つであると考える.
  • 日本チバガイギー株式会社アグロテック事業部登録
    1993 年 18 巻 4 号 p. S213-S217
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    アメトリンの安全性評価のため各種毒性試験を行なった. その結果, 原体および製剤の急性毒性は比較的低く, 本化合物には顕著な薬理作用も認められなかった.
    また, 25%乳剤および50%水和剤の眼一次刺激性ならびに25%乳剤の皮膚一次刺激性は軽度であり, 50%水和剤の皮膚一次刺激性, 25%乳剤の皮膚感作性は陰性であった. 慢性毒性および発癌性試験における高用量群で飼料摂取量, 体重増加量, 赤血球パラメーターの減少等の変化が認められたが, 特測の病変は認められず, 発癌性も認められなかった. また, 変異原性, 繁殖性に及ぼす影響および催奇形性も認められなかった.
    アメトリンを有効成分とする農薬は, 昭和41年6月に畑作用として登録定れた. なお登録保留基準は果実で0.4ppmと設定定れた.
    アメトリンは定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が確保定れるものであり, 有用な農業資材の一つとして上市以来好評を得ている.
  • デュポンジャパンリミテッド農業用製品事業 , 研究開発・新規事業部
    1993 年 18 巻 4 号 p. S219-S223
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    チフェンスルフロンメチルについて各種毒性試験を実施し, 安全性を評価した. その結果, 本剤はきわめて安全性の高い薬剤であることが示された.
    チフェンスルフロンメチルのラットおよびマウスにおける急性毒性は低く普通物に相当した. 眼一次刺激性試験において非洗眼群で中等度の刺激性が認められたが, 洗眼群では認められなかった. 皮膚一次刺激性試験では刺激性は認められなかった. また, 皮膚感作性試験でも感作性は認められなかった.
    ラット, マウスおよびイヌを用いた亜急性毒性および慢性毒性, 発癌性試験では, 高用量群において体重減少, 体重増加抑制, 血清ナトリウム濃度の低下, 肝重量の増加が認められた. 催腫瘍性は認められなかった.
    ラットおよびウサギを用いた次世代に及ぼす影響試験では, 繁殖性に及ぼす影響・催奇形性ともに認められなかった.
    変異原性は復帰変異試験, 染色体異常試験, Rec-assay のいずれにおいても陰性であった.
    チフェンスルフロンメチルは平成4年4月1日に農薬登録を取得し, 登録保留基準は麦・雑穀0.1ppmと設定された.
    チフェンスルフロンメチルは魚毒性も弱く, その使用方法および一般的注意事項を遵守すれば, 環境および作業者への安全性の高い薬剤であると考えられる.
  • 日本チバガイギー株式会社アグロテック事業部登録
    1993 年 18 巻 4 号 p. S225-S228
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    チアザフルロンの安全性評価のため各種毒性試験を実施した. その結果, 原体および80%水和剤の急性毒性は比較的低く, 眼に対する刺激性もきわめて軽度であり, 皮膚に対する刺激性および皮膚感作性は認められず, 顕著な薬理作用も認められなかった.
    一方, 亜急性毒性試験では, 高用量群で体重増加抑制, 神経系反射および反応の障害がみられ, 死亡率の増加, 肝・卵巣脳重量比の低下等が認められたが, チアザフルロンによる特異的な病変は認められなかった. また, 催奇形性および変異原性も認められなかった.
  • 満非 喬
    1993 年 18 巻 4 号 p. S231-S232
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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