抄録
四塩化炭素 (CCl4), 4, 4′-ジアミノジフェニルメタン (DDM), 低タンパク高脂肪食 (LPHF) を8週間継続して投与し, 実験的に肝障害を発生させた雄ラットでは, 有機リン殺虫剤フェニトロチオン [O, O-ジメチル O-(3-メチル-4-ニトロフェニル) ホスホロチオエート] の毒性が対照に比較して弱く現われ, 経口急性: LD50値は1.1倍 (LPHF) ないし2倍 (DDM, CCl4) となった. このようなラットに15, 50, 150mg/kgの14C-フェニトロチオンを経口投与した際の尿, 糞への14Cの排泄パターンは, 最高投与条件下で肝障害ラットにおいて若干の遅れが見いだされる以外は大差なく, 14Cはほぼ完全に, 主として尿中にすみやかに回収された. 尿中代謝産物に質的な差異はなく, 肝障害ラットではいずれも対照に比し脱メチルフェニトロチオンの量比が大きく, 脱メチルフェニトロオキソン, 3-メチル-4-ニトロフェノールの生成が少ない傾向を認めた. また14C-フェニトロチオン15mg/kg投与に先だって4週間約2.8mg/kg/dayのフェニトロチオン (非放射性) を与えておくと, 対照ラットと肝障害ラットとにみられたこのような差異は少なくなった.