Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
抗菌活性を有する2-アニリノ-4-フェニルチアゾールの合成およびそのステロール生合成阻害活性
汲田 泉野田 薫
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 26 巻 2 号 p. 136-142

詳細
抄録

我々は先に, T. mentagrophytesB. cinerera に対して高い抗菌活性を示すと同時に, それに対応した強いスクワレンエポキシダーゼ阻害活性を示す3-(2,6-ジクロルフェニル)-5-フェニルアミノ-1,2,4-チアジアゾール類を見出した. スクワレンエポキシダーゼ阻害剤は二つの疎水性ドメインと, それらをつなぐスペーサーからなるという Nussbaumer らのモデルを参考にして, スペーサー部分の構造要件を探るために, チアジアゾール環をチアゾール環に変換した化合物を合成した. それらの化合物の多くは in vitro において T. mentagrophytesB. cinerera に対して比較的高い抗菌活性を示し, [2-14C] 酢酸の取込によるスクワレンの蓄積量は, 抗菌活性と良く相関した. 最も高い抗菌活性を示した化合物は2-(4-クロロフェニルアミノ)-4-(2,6-ジクロロフェニル) チアゾール (5) であり, 医用抗真菌剤として知られるトルナフテートにまさった. また, Saccharomyces cerevisiae の無細胞系におけるメバロン酸からのステロール生合成アッセイにおいても, 化合物 (5) は顕著なスクワレンの蓄積を示した. これらのことにより, 化合物の第一の作用点はスクワレンエポキシダーゼであると思われる.

著者関連情報
© 日本農薬学会
前の記事 次の記事
feedback
Top