2001 年 26 巻 4 号 p. 354-360
ホスファチジルコリン多重層リポソーム中の蛍光プローブに由来する蛍光偏光, 蛍光強度のpH, 温度依存性並びに膜の相転移温度に与える2,4-D誘導体の影響を調べた. pH3.0で非解離型の2,4-Dは膜ゲル状態における蛍光偏光の減少とともに膜の相転移温度を低下させ, pH7.5での解離型は膜表面における前転移温度を低下させた. 蛍光実験並びに多重層リポソームへの分配係数のpH依存性から2,4-D誘導体の非解離型は脂質二重膜内部のグリセロール骨格付近から疎水性領域にかけて分配され, その程度は疎水性, 酸解離定数, 化学構造に左右された. 一方, 解離型は膜表面に吸着するものと推定された.