2001 年 26 巻 4 号 p. 390-392
幼若ホルモン (JH) 様活性とともに抗JH活性を示すことが知られているエチル4-[2-(tert-ブチルカルボニルオキシ) ブトキシ] ベンゾエート (ETB) の構造を改変して, カイコ幼虫に対して早熟変態を誘導する2-(3-クロロフェノキシ) エチル2-メチル-5-ピリジルエーテル (2) を見いだした. ベンゼン環上の3位の塩素をフッ素, 臭素, トリフルオロメチル, メチル基等に換えると活性は低下した. 2-メチル-5-ピリジル部位を3-ピリジル基や種々の置換ピリジル基に変換すると活性は消失したことから, 2-メチル-5-ピリジル部位は活性発現に必須であった. ETBが3齢起蚕に投与した場合のみ早熟変態を誘導したのに対して, 化合物2は3齢72時間目や4齢初期に施用しても活性を示したことから, ETBとは作用機構が異なることが示唆された. また, 化合物2は摂食法でも早熟変態を誘導した.