1978 年 3 巻 3 号 p. 311-314
殺虫剤の14C標識DDTおよび14C標識 parathion の魚体内濃縮部位を調べるためにコイを用いて全身オートラジオグラフィー法で検討した. 投与方法としては飼育水槽内に溶かす方法, 飼料にまぜる方法, 局所施用, 経口的および経肛門的注入の諸方法が用いられた. その結果, 投与方法には関係なく, 14C-DDT, 14C-parathion およびその代謝産物と思われるものは, 胆のうに濃縮されることがわかった. 20日間14C-DDTにさらしたコイの脳には, DDTおよびその類縁体と考えられるものが存在したが, 14C-parathion にさらしたコイの脳には, 放射能が存在しなかった. 経口的に14C-DDTおよび 14C-parathion を含む飼料を与えた場合には, おもに, 胆のうと腸に放射能が見いだされ, 脳には放射能がほとんど見られなかった. この結果は, 橋本と深見の「低い経口毒性」を支持できるかもしれない.