1981 年 6 巻 1 号 p. 59-64
N-アリルアミノアセトニトリル塩酸塩 (AAN) は Fusarium oxysporum による病害に防除効果を示す. AANはF. oxysporum の生育のみならずその病原性にも影響を与えなかった. また処理植物の汁液中に抗菌物質は見いだされなかった. AAN処理植物では, 根部のパーオキシダーゼ活性およびポリフェノールオキシダーゼ活性の増加や, フェノール物質の蓄積が認められた. さらにAAN処理により根部におけるリグニンの蓄積が認められ, 14C(U)-グルコースの細脂壁への取り込みも促進された. AANは植物の生理変化をひきおこし, F. oxysporum に対する植物の抵抗性を増大させることにより防除効果を示すものと思われた.