Journal of Pesticide Science
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フェニトロチオンの熱分解-自動触媒的分解機構
有機リン農薬の分解 (第2報)
前田 尚良川島 操子小笠原 順子辻 孝三
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1982 年 7 巻 3 号 p. 341-347

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抄録

密閉系でのフェニトロチオン (スミチオン®) の分解速度は, 開放系よりもかなり速いことを認め, 次のような自動触媒的熱分解機構を提唱した. 分解はS-メチル異性体を経由し, さらにS-マメチル体の分解生成物であるジメチルチオエーテルによって異性化が加速される. また室温のような低い温度でもこの分解機構が適用されると推察された. チオエーテルをスミチオンに0.4~1.6w/w%添加すると, 20~50倍以上スミチオンの異性化が加速されることがわかった. ある種の金属塩もスミチオンの異性化を速めるが界面活性剤のドデシルベンゼンスルホネートは無影響であった. また, スミチオン, S-メチルスミチオン, スミオキソンの熱安定性を比較した.

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© 日本農薬学会
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