抄録
フェニトロチオンが動物体内でエナンチオトピック脱メチル化反応を起こす際, 光学活性デスメチルフェニトロチオンが生成するかどうかを知るためマウス肝臓ホモゲネートおよびマウスにフェニトロチオンを投与し, 代謝されたデスメチルフェニトロチオンを (S)-(-)-α-フェニルエチルアミンとのジアステレオマーに誘導し, 液体クロマトグラフィーによって分離定量した. その結果, (R)p 体が優先的に生成したが, (S)p 体もある程度代謝されることが明らかとなった. また, デスメチルフェニトロチオンの不斉リンの絶対立体化学は合成によって得られた上記ジアステレオマーのプロトンNMRを比較検討することにより, 絶対構造と旋光性を(R)p-(+), (S)p-(-) と決定した.