Journal of Pesticide Science
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N-(1-Methyl-1-phenylethyl)-2-bromo-3,3-dimethylbutanamide (bromobutide) と脱Br体のラットおよびマウスにおける比較代謝
磯部 直彦松尾 昌年宮本 純之
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1984 年 9 巻 1 号 p. 105-115

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抄録

Bromobutideの 脱Br体, N-(1-methyl-1-phenylethyl)-3,3-dimethylbutanamide (deBr-bromobutide) のカルボニル炭素14C-標識体を5mg/kgの割合でラットおよびマウスに1回経口投与し, その生体内運命を調べ bromobutide の結果と比較した. ラットでは, deBr-bromobutide は速やかにフェニル基とt-ブチル基の酸化を受けた後ほぼ定量的に排泄された. 投与後の14C排泄速度は bromobutide より速く, 糞への排泄14C量, 組織残留14C量および腸内容物中14C量は bromobutide より少なかった. deBr-bromobutide は, ラット肝ミクロゾームによるNADPH依存性のω-水酸化の良基質となったが, 芳香族水酸化に対しては bromobutide 同様よい基質ではなかった. deBr-bromobutide と bromobutide のラットにおける主要代謝物はアルコールおよびフェノール誘導体のグルクロン酸抱合体で, これらは腸肝循環した. deBr-bromobutide の主要代謝物であるアルコール誘導体のグルクロン酸抱合体は速やかにカルボン酸となり尿中に排泄されるが, bromobutide の主要代謝物であるフェノール誘導体のグルクロン酸抱合体は前者に比べ体内に長くとどまった. マウスは代謝物をほとんど尿中に排泄した. 2種の水酸化活性に基質特異性が認められ, 種差もあったが, deBr-bromobutide は bromobutide とほぼ同様に代謝され, 代謝経路は完全に bromobutide のものに包含された.

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