日本公衆衛生雑誌
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患者喀痰からの BCG Tokyo 株の検出と公衆衛生行政的対応について
大畠 律子中島 洋岩本 真弓小寺 良成
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2002 年 49 巻 8 号 p. 790-794

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抄録
目的 結核として届け出のあった患者からの分離菌が,BCG 株と判明した事例の体験をもとに,迅速で有効な結核対策のための,発生動向調査や菌検査の精度管理のあり方ならびに医療機関と保健所など関係機関の連携について検討することを目的とした。
方法 医療機関で分離・培養された抗酸菌について,制限断片長多型(restriction fragment length polymorphism,以下 RFLP)解析を行うことにより分子生物学的な面から病原体情報を取りまとめ,その結果を医療機関および所管保健所へ還元した。
結果 肺結核と診断された患者の喀痰材料から分離された菌株について,IS6110およびPGRS (polymorphic GC-rich repetitive sequence)をプローブとした RFLP 解析を行ったところ,BCG 様パターンを示す株が検出された。患者情報の追加調査により,患者は膀胱癌治療のため BCG 免疫療法を受けていたことが判明し,それに由来するものと推測された。この結果を受け,医療機関ではこの症例の再検討を行い,所管保健所においては,2 回目以降の接触者検診計画が中止された。
結論 今回の事例から,十分な発生動向調査と精度管理に基づく適切な菌検査の重要性が認識された。特に高齢者の結核では,合併症など特殊な事情があるため,医療機関と保健所の十分な連携と情報交換も重要と考えられた。また,分子生物学的手法としての RFLP 解析は,感染源究明に非常に有効であり,今後の結核対策に大いに役立つことが示唆された。
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© 2002 日本公衆衛生学会
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