日本公衆衛生雑誌
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最新号
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原著
  • 松島 みどり, 髙木 彩, 近藤 尚己, 田淵 貴大
    2024 年 71 巻 2 号 p. 93-102
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/27
    ジャーナル フリー

    目的 本研究は,妊娠・出産包括支援事業の一部である妊娠期の専門職面談や支援プラン作成が,産後の地域専門職への信頼と,援助要請先の認知に与える影響を定量的に明らかにすることを目的としている。

    方法 2021年7~8月,2022年1~2月に同一の対象者にweb調査を行った。対象者は,2021年調査時は妊娠中,2022年は産後0~5か月の女性である。調査項目は基本属性,就業状況,妊娠・出産関連項目に加えて,母子健康手帳交付時の相談機会,妊娠期間中の支援プランの作成,地域専門職への信頼と援助要請先の認知である。まず,これらの回答を用いて,地域専門職への信頼と援助要請先の認知を従属変数とし,妊娠期の相談機会,支援プラン作成の有無を目的変数としてロジスティック回帰分析を行った。次に,子育て世代包括支援センターの設置の有無,居住自治体の財政力指数,1人当たり児童福祉費,母子健康包括支援センター保健師数を分析モデルに加えることで,妊産婦向け支援全般の充実度を調整した上でも,妊娠期から地域専門職が関わる取り組みの効果として,分析結果が頑健であるかを確認した。

    結果 日本全国から回答を得て,616人を分析対象とした。記述統計からそれぞれの回答の割合は,相談機会有74.0%,支援プラン作成有23.7%,地域専門職への信頼有69.8%,援助要請先の認知有63.6%であった。ロジスティック回帰分析の結果,相談機会があった,支援プランを作成したと回答した人の出産後の地域専門職への信頼と援助要請先の認知はそうでない人に比べて高かった(地域専門職への信頼に対して,相談機会有の場合のオッズ比:2.05 95%信頼区間:1.37-3.07/支援プラン作成有の場合のオッズ比:2.25 95%信頼区間:1.41-3.60。援助要請先の認知に対して,相談機会有の場合のオッズ比:1.46 95%信頼区間:0.98-2.16/支援プラン作成有の場合のオッズ比:3.05 95%信頼区間:1.94-4.80)。なお,これらは自治体財政や妊産婦向け支援全般の充実度を調整した上でも同様の結果が得られた。

    結論 妊娠期の相談機会や支援プラン作成は産後の地域専門職への信頼と援助要請先の認知を向上させていた。自治体財政や妊産婦・子育て支援全般の充実度についてはこれらの関係はみられず,妊娠期の専門職との関わりの重要性が示唆される。

Public health report
  • Mio KATO, Fumi YOSHIMATSU, Tomonori YAMAMOTO, Nozomi KOBAYASHI, Tadash ...
    2024 年 71 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/12
    ジャーナル フリー

    Objectives In response to the steady rise in the number of cases of mpox in nonendemic countries, starting with an outbreak in the United Kingdom in May 2022, the World Health Organization declared a public health emergency of international concern on July 23, 2022. As of November 13, 2022, seven cases of mpox have been reported in Japan.

    Methods A community engagement approach was applied to prevent the spread of mpox in Japan.

    Results A tripartite partnership between academia, community, and government (ACG) was established to promote multisectoral communication between vulnerable communities, medical personnel involved in diagnosis and treatment, public health specialists at public health centers, epidemiologists at the National Institute of Infectious Diseases (NIID), and government and public administration. Through information sharing, this ACG partnership can translate accurate information into effective infection control measures.

    Conclusion By developing and maintaining the ACG partnership, an environment will be created that allows an immediate response to future public health crises affecting vulnerable communities. This Practice Report describes the process of establishing an ACG partnership.

資料
  • 高橋 彩華
    2024 年 71 巻 2 号 p. 108-116
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/12
    ジャーナル フリー

    目的 本研究は,北海道における幼児の肥満および生活習慣と家庭・近隣環境との関連について明らかにし,北海道の環境特性を踏まえた幼児肥満対策への示唆を得ることを目的とした。

    方法 北海道に居住する3歳から6歳までの未就学児1,786人の保護者に,無記名自記式質問紙調査を実施した。児の身長および体重の値,属性,家庭・近隣環境,生活習慣を尋ね,年齢別性別BMIカットオフ値以上を肥満とした。各変数と肥満との関連,家庭・近隣環境と生活習慣との関連について,それぞれ χ2検定を行った。

    結果 有効回答950人(有効回答率53.2%)のうち,肥満児9.8%,睡眠時間が10時間未満の児50.9%,朝食欠食ありの児3.2%,間食時間が決まっていない児28.3%,テレビ視聴が2時間以上の児20.1%,ゲーム時間が1時間以上の児10.6%,体を動かす時間が1時間未満の児68.8%であった。χ2検定の結果,肥満と関連がみられたのは遊び場の有無(P<0.05),睡眠時間(P<0.01),ゲーム時間(P<0.05)であった。家庭・近隣環境と生活習慣との関連では,母親の就労が,間食時間(P<0.05),体を動かす時間(P<0.001),睡眠時間(P<0.001)に有意に関連していた。また,居住地域,遊び場の有無,一緒に遊ぶ友達が,体を動かす時間(P<0.01),睡眠時間(P<0.001,P<0.01)に有意に関連していた。

    結論 幼児肥満の予防には,健康的な生活習慣の確立が重要である。本研究より,幼児の生活習慣に家庭・近隣環境が関連することが明らかになった。幼児肥満対策においては,個人や家族への支援に加え,地域の資源を活用した遊び場環境の整備など,地域の環境特性を踏まえた支援が重要であることが示唆された。

  • 土方 奈々, 村上 邦仁子, 植原 昭治, 渋谷 克彦, 福田 吉治
    2024 年 71 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/27
    ジャーナル フリー

    目的 新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)は世界的な公衆衛生上の脅威であり,本邦では地域の保健所が感染症対応の中心的な役割を担い,管轄地域の全感染者の基本的な情報を集積してきた。本研究は,全感染者の集団における対象者の属性,療養種別,発症や診断,転帰などの日数について,第1波から第5波までの波の特徴を明らかにすることを目的とした。

    方法 本研究は2020年2月から2021年11月までの東京都一行政区のCOVID-19登録者データを用いた。年代,性別,国籍,診断時の症状,感染経路,療養種別,発症から診断までの日数,診断から入院までの日数,療養日数,転帰を第1波から第5波にわけて分析した。

    結果 全解析対象者は11,252例,第1波151例,第2波803例,第3波2,406例,第4波1,480例,第5波6,412例であった。第1波では30歳代,第2波以降は20歳代が最多で,致死率は高齢になるほど上昇した。全波において男性が女性より多い傾向であった。肺炎合併率は第1波の25.2%からその後低下した。感染経路は不明以外で家庭内感染が最多であり,第1波では国外,第2波では接待を伴う飲食での感染が特徴であった。療養種別は第1波,第2波において入院が,感染者の急増した第3波以降は自宅療養が最多となった。第1波では発症から診断までの日数が中央値7日であった。診断から入院までの日数は,第1波から第4波までは中央値1日であったが,第5波は中央値3日と延長した。

    結論 波ごとに感染者の特徴に違いがあり,対策の変化やウイルスの変異等が関連していること,そして,これらの特徴の変化が感染者対応を困難にする要因と考えられた。効果的な感染症対策には,より迅速な感染状況の把握が重要である。第1波における発症から診断までの遅れや第5波での診断から入院までの日数の増加があり,今後起こりうる新興感染症対応時には,初動時の検査の早急な拡充とともに,重症化が顕著な場合は入院病床の十分な確保が必要である。

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