日本公衆衛生雑誌
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早期公開論文
早期公開論文の12件中1~12を表示しています
  • 爾見 まさ子, 加藤 康幸, 池田 俊也
    論文ID: 23-057
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/29
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 新型コロナウイルスワクチンによる入院および重症化予防に関する実社会での有効性についてはエビデンスが不足している。国内の公的なデータベースであるHER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム)を用いて,mRNAワクチンの入院予防効果を明らかにすることを目的とした。

    方法 2021年5月17日から同年9月30日に,SARS-CoV-2陽性と確定診断された東京都港区在住の50歳以上を対象としたケースコントロール研究である。ケース群は発症または診断後10日までに入院した者(192例),コントロール群は発症または診断後10日まで自宅療養完了した者(366例)とした。mRNAワクチン未接種者を参照とし,1回目接種後14日以内および15日以降の発症者,2回目接種後14日以内および15日以降の発症者に層別化し,調整オッズ比を算出した。主な入院・重症化リスク因子とされる年齢,性別,基礎疾患の有無についてワクチン接種歴の調整オッズ比を算出した。

    結果 ケース群,コントロール群における平均年齢はそれぞれが61.1歳,57.6歳であり,男性の割合は,それぞれ66.7%,54.4%であった。また,ケース群で71.3%の者,コントロール群で70.2%の者がワクチン未接種であった。ワクチン未接種者を参照とした調整オッズ比は1回目接種後14日以内が1.48(95%信頼区間[CI]0.88–2.50),1回目接種後15日以降が0.71(95% CI 0.27–1.80),2回目接種後14日以内が0.58(95% CI 0.20–1.66),2回目接種後15日以降が0.30(95% CI 0.13–0.67)であった。対象者の属性における調整オッズ比は,年齢の1歳増加が1.05(95% CI 1.03–1.07),男性が1.69(95% CI 1.15–2.48),基礎疾患の存在が1.57(95% CI 1.07–2.29)であった。

    結論 mRNAワクチンの2回目接種後15日以降にCOVID-19を発症した者は入院するリスクが有意に低かった。また,高齢,男性,基礎疾患の存在は入院のリスク因子であった。

  • 齋藤 尚子, 高瀬 麻以, 田口 敦子, 村山 洋史
    論文ID: 23-078
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/29
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 近年,互助を活用した生活支援体制の構築が重視されている。本研究では,地方において生活支援を利用していない高齢者を対象に,生活支援の必要性と住民との関係性との関連を検討することを目的とした。なお,本研究では生活支援を,「高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるように,日常生活を送る上での困りごとを支援すること」と操作的に定義した。

    方法 新潟県十日町市下条地区に居住する65歳以上の者のうち,要介護3以上の要介護認定を受けている者を除いた1,033人全員を対象に,2018年10月に自記式質問紙調査を実施した。調査項目は,基本属性,健康状態,住民との関係性,生活支援33項目に対して高齢者自身が感じる必要性とした。

    結果 802人(回収率77.6%)から回答が得られ,このうち生活支援をすでに利用している者や長期入院中の者を除いた653人を分析した。因子分析の結果,生活支援33項目は4因子に分かれ,支援の必要性を感じる者の割合が多い順に「一時的な課題やトラブル」53.4%,「イベントや集まりへの参加」38.0%,「日常的な家事」31.7%,「日常生活の些細なこと」27.7%となった。生活支援の必要性に関連する住民との関係性を明らかにするためにロジスティック回帰分析を行ったところ,「一時的な課題やトラブル」の必要性には,住民への信頼感が低いこと,生活支援意向があるが支援を実施していないこと,生活支援意向があり支援を実施していることが関連していた。「イベントや集まりへの参加」の必要性には,生活支援意向があるが支援を実施していないこと,生活支援意向があり生活支援を実施していること,世間体を気にすることが関連していた。「日常的な家事」の必要性には,住民への信頼感が低いこと,生活支援意向があり支援を実施していることが関連していた。「日常生活の些細なこと」の必要性には,生活支援意向があり支援を実施していることが関連していた。

    結論 生活支援の必要性には,住民との関係性が関連していた。地域における生活支援体制の推進には,高齢者と住民との関係性を視野に入れた検討が必要である。

  • 早渕 仁美, 武見 ゆかり, 太田 雅規, 坂田 郁子, 坂口 景子, 久保 彰子, 由田 克士, 北岡 かおり, 岡見 雪子, 大久保 孝 ...
    論文ID: 23-094
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/29
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 地域における減塩のための食環境整備においては,住民の減塩食品の入手可能性を把握し,その改善や活用の支援が必要である。しかし,その食環境アセスメント手法はまだ確立されていない。本報告では,地域における減塩食品提供状況調査方法の検討を行い,共通の方法と基準,実践のための手段を設け,全国で使用できるように標準化することを目的とした。

    方法 厚生労働省・経済産業省による大規模実証事業への協力と取扱商品リスト等情報提供の合意が得られた北九州市の全国規模の4店舗において,減塩食品提供状況の予備調査を行った。まず,店頭で調査員が直接調査して収集した店頭調査リストと,店舗から提供された取扱商品リスト(以下,店舗提供リスト)を比較,分析して,両調査の課題を抽出し,実施可能性と的確性を検討した。次に,予備調査で課題となった減塩食品の定義を明確にし,減塩食品分類基準を設定し,店頭調査の目安になる調査用減塩食品リストを作成した。また,店頭調査結果を記録するためのシートと調査用マニュアルを作成し,標準化を図った。そのマニュアルを用いて管理栄養士が店頭調査を行い,活用可能性を確認した。

    結果 予備調査で,店頭調査リストの方が店舗提供リストより調査漏れが少なく,実施可能性が高いことがわかった。減塩食品の定義を明確にした上で,以下を作成した。①店頭での調査と購入のしやすさを考慮して減塩食品の分類基準(3つの大分類,7つの中分類,37の小分類)を設定し,減塩食品分類基準表を作成した。②調査結果を記録する調査用減塩食品リストを用いて,個々の減塩食品提供状況を詳細に記入する入力用基準シートと,減塩食品の入手可能性を定量的に記入する集計用シート,および店舗別提供状況の有無を見える化した掲示用シートを作成した。③調査の目的と考え方,減塩食品の定義と分類基準,記録用減塩食品リストのシートについて説明した調査マニュアルを作成した。管理栄養士が①~③を用いて店頭調査とデータ収集・整理を的確に行い,減塩食品の入手可能性の定量的把握と見える化が容易に行えることを確認した。

    結論 減塩食品の入手可能性は,調査マニュアルと記録用シートを用いた店頭調査で,容易にまた的確に把握できることがわかった。この標準化された減塩食品提供状況調査は,地域の減塩対策において,食環境アセスメント手法の1つになり得ることが示唆された。

  • 杉本 南, 朝倉 敬子, 片桐 諒子, 佐々木 敏
    論文ID: 23-100
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/29
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 本研究は,エネルギー・栄養素摂取量に関する包括的なガイドライン「日本人の食事摂取基準」(以下,食事摂取基準)の使用実態を明らかにし,さらに使用実態の勤務施設種による違いを検討することを目的とした。

    方法 2023年7月に,食や栄養に関わる業務に従事する者を対象として,Web質問票調査を実施し,1,030人が回答した。日常業務での食事摂取基準の使用状況のほか,食事摂取基準で主に読む部分や使用にあたって困る点,改定版に関する主な情報源,改定での関心事項などを尋ねた。回答状況を,対象者が勤めている施設種別(医療機関,学校・福祉施設,行政,栄養士養成施設,企業,地域・その他)で比較した。

    結果 対象者の58%が,食事摂取基準を日常業務でとてもよく使う,またはよく使うと答えていた。これらの対象者において,よく使う業務は,医療機関や学校・福祉施設,企業では勤務施設の栄養素等基準値の作成,献立作成・給食管理と栄養管理・指導,行政では栄養管理・指導や講習/教材の作成,栄養士養成施設では講習/教材の作成,地域・その他では栄養管理・指導や講習/教材の作成が主であった。主に使う部分は,全体として,各論のエネルギー(66%),たんぱく質・脂質・炭水化物・エネルギー産生栄養素バランス(72%)を選んだ者が多かった。対象者全体において,食事摂取基準の使用にあたって困る点は,主に文字が多い・文章が長いために読むのに時間がかかることであった(全体の54%,施設種間の有意差なし)。食事摂取基準の改定版に関する主な情報源は,主に日本栄養士会のセミナーや研修会(全体の70%)であったが,行政と栄養士養成施設では厚生労働省による研修会や公開情報と答えた者も多かった。改定版で主に気になる変更内容は,全体の策定方針(77%)や,どの指標値に変化があったか(74%)は全体として関心が高い一方,個別の指標値の策定方法への関心は,他の施設種より栄養士養成施設で高い傾向があった。

    結論 本研究は,日本人の食事摂取基準が,食や栄養に関わる業務に従事する者により,日常業務においてよく使われていることを明らかにした。一方で,その使われ方や関心のある点,改定に関する情報収集の方法は施設種によって異なることが明らかになった。今後は,施設種での業務に即した記述の工夫や参考資料の作成,情報伝達方法が必要と考えられる。

  • 高瀬 麻以, 杉浦 圭子, 相良 友哉, 中本 五鈴, 馬 盼盼, 六藤 陽子, 東 憲太郎, 藤原 佳典, 村山 洋史
    論文ID: 23-053
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/21
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 介護施設で働く介護職員のメンタルヘルスが日本で課題となっている。高年齢介護助手の導入は,介護職員の業務を高年齢介護助手が一部担うことにより介護職員の負担を軽減させることを狙う。一方で,高年齢介護助手が介護職員の業務促進・阻害要素をどのように変化させ,介護職員の情緒的消耗感と如何に関連するかは明示されていない。本研究は,高年齢介護助手の雇用によって介護職員が感じた業務促進・阻害要素の変化を調べ,介護職員の情緒的消耗感との関連を探ることを目的とする。

    方法 2020年度「介護老人保健施設等における業務改善に関する調査研究事業」の調査データを用いた。介護職員の票のうち,勤務先の施設が高年齢介護助手(60歳以上の介護助手)を雇用していると回答した5,185人を解析した。従属変数は日本語版バーンアウト尺度の下位尺度である情緒的消耗感を用いた。独立変数として,高年齢介護助手雇用による介護職員の業務促進・阻害要素の変化(改善,維持・悪化)を9つ設定した。

    結果 高年齢介護助手の雇用により介護職員が改善したと感じた項目は,「全体的な業務の量」(改善:63.6%),「普段の業務における気持ちのゆとり」(改善:39.8%),「介護の専門性を活かした業務への集中」(改善:38.0%)であった。調整変数とすべての業務を調整した重回帰分析の結果,「全体的な業務の量」が減少し(β=-0.383, 95%CI: -0.719, -0.047),「普段の業務における気持ちのゆとり」が増加し(β=-0.432, 95%CI: -0.796, -0.068),「介護の専門性を活かした業務への集中」が向上し(β=-0.574, 95%CI: -0.937, -0.210),「施設職員間の人間関係」が改善した(β=-0.871, 95%CI: -1.263, -0.480)と回答した者ほど,情緒的消耗感得点が低かった。対して,「地域の人や団体と関わる機会」が増加した(β=0.800, 95%CI: 0.162, 1.437)と回答した者ほど,得点が高かった。

    結論 高年齢介護助手の雇用は介護職員が感じる業務促進・阻害要素の変化に関与し,それらが介護職員の低い情緒的消耗感と関連したことから,介護職員のバーンアウトのリスクを軽減する対策になり得る可能性が示唆された。

  • 鈴木 良美, 石田 千絵, 澤井 美奈子, 山口 拓允
    論文ID: 23-058
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/21
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 Bioterrorism(以下,バイオテロ)は攻撃が秘匿的で潜伏期もあり顕在化するまでに時間がかかり,発見された時には大規模なアウトブレイクとなる場合がある。そのため被害軽減のための早期の検知と対処には,準備態勢の構築が重要である。保健所保健師は,バイオテロの探知と対処の責務を担うものの,準備の状況は明らかになっていない。そこで本研究の目的を,首都圏で保健所の感染症対策部門に勤務する保健師のバイオテロに対する研修経験や知識と,準備の有効性や障壁等の認識の現状を明らかにすることとした。

    方法 研究デザインは横断的,記述的研究である。対象は,大都市圏で人口が密集し大規模イベントも多くバイオテロの蓋然性の高い東京都とその近県3県88か所の保健所感染症対策部門の保健師である。郵送法による無記名自記式質問紙調査を2019年に実施し,1か所につき2人の保健師に属性,研修等の経験,知識,認識について質問した。

    結果 71人から回答を得た(回収率40.3%)。職場でのバイオテロ研修経験者は10人(14.1%)であった。バイオテロの蓋然性の高い4種の感染症の知識に関して,「聞いたことあり」は95%以上であったが,「症状がわかる」は33.8–53.5%,「治療がわかる」は5.6–16.9%,「テロ対応がわかる」は1.4–5.6%と少なかった。調査の回答者は,バイオテロ発生時の重大性や準備の有効性は認識しているものの,研修を受ける機会や時間は十分とは言えず,対応に自信がなく,研修希望者が多い傾向にあった。

    結論 調査に回答した保健所保健師はバイオテロの研修経験や知識,研修の機会や時間が十分とは言えず,バイオテロの準備態勢強化のための研修体制の構築が課題である。今後は保健師基礎教育でバイオテロの存在を知り,現任教育で保健所保健師はオンラインなども活用して一度は研修を受けるとともに,随時情報をブラッシュアップする必要があると考える。保健所ではコロナ禍の教訓を踏まえ,各保健所が「健康危機対処計画」を策定し,2024年度からの運用を始める予定であり,その一環としてバイオテロに対する備えも必須であると考える。

  • 井村 亘, 難波 知子, 石田 実知子
    論文ID: 23-069
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/21
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 本研究の目的は,高校生と担任間でおこなわれている日常会話の頻度を測定することができる「高校生版学級担任との日常会話尺度」を開発することである。

    方法 本研究は,調査Ⅰ,Ⅱで構成した。調査Ⅰは,「高校生版学級担任との日常会話尺度(試作版)(以下:試作版尺度)」の構造的妥当性を因子測定モデルと項目の性能の側面から確認することに加えて,信頼性を内的一貫性の側面から確認することを目的とした。調査内容は,高校生の担任との日常会話頻度とし,試作版尺度を用いて測定した。試作版尺度の因子測定モデルは,確認的因子分析を用い,項目の性能は,項目反応理論を用いて検討した。また,内的一貫性は,McDonaldの ω 信頼性係数を用いて検討した。調査Ⅱは,試作版尺度の仮説検証による妥当性を確認することを目的とした。調査内容は,担任との日常会話頻度,担任サポート期待,抑うつ・不安,担任との関係性で構成した。担任との日常会話頻度は,試作版尺度を用いて測定した。分析は,担任との日常会話頻度が担任サポート期待,抑うつ・不安に影響するとしたモデルと担任との日常会話頻度が担任との関係性に影響するとした2つのモデルを構築し,そのモデルの適合性と変数間の関連性について構造方程式モデリングを用いて検討した。仮説は,前記2つのモデルがともに調査データと当てはまっていることに加えて,担任との日常会話頻度と担任サポート期待,担任との関係性は強い有意な正の関連を示し,抑うつ・不安は弱いながらも有意な負の関連を示すとした。

    結果 調査Ⅰの分析対象者は,1~3年生1,394人であった。確認的因子分析,項目反応理論,McDonaldの ω 信頼性係数の結果は,基準を満たす値であった。調査Ⅱの分析対象者は,1~3年生1,688人であった。分析結果から仮説は支持された。

    結論 本研究結果は,試作版尺度が概念的一次元性を備えており,かつ,各項目の難易度のバランスの取れた尺度であることを示唆しており,「高校生版学級担任との日常会話尺度」が開発されたことを示している。本尺度を活用し,担任との日常会話頻度が高校生の心理・行動に与える影響を検討することにより,担任による高校生のメンタルヘルス不調に対する一次予防策に資する知見を得ることが可能になると考える。本尺度は,今後の公衆衛生における学校保健活動に寄与しうるものであると思料する。

  • 堀江 早喜, 石川 みどり, 森永 裕美子, 横山 徹爾
    論文ID: 23-038
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/01/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 乳幼児期の食生活は将来の健康状態に与える影響が大きい。わが国では乳幼児栄養調査の結果,約80%の保護者は子どもの食事の心配事を抱えており,本研究は離乳期以降の食に焦点を当て,乳幼児健康診査(1歳6か月児・3歳児対象,以下幼児健診とする)における保護者の心配事に影響する児の食事や家庭環境要因について検討した。

    方法 対象は2019年3月~2020年1月に東北・中部・中国地方の幼児健診において,調査協力の得られた対象者のうち無効回答を除く646人を解析対象とした。調査項目は児の食事内容・生活習慣・健康の心配事56項目(はい・いいえで回答),児の属性,食品の摂取頻度(6選択肢18種)等を尋ねた。心配事の因子分析により抽出された各因子について,「はい」と回答した項目数を心配事得点とし,食品摂取頻度および属性との関連を解析した。

    結果 心配事30項目4因子が抽出された。第1因子は「おやつの摂取回数,時間のこと」等の【健康意識・生活習慣】,第2因子は食品・食材の組合せ等の【食事の雰囲気・内容】,第3因子は遊び食べ等の【食事への関心・意欲】,第4因子は料理作り体験等の【食経験・行動】であった。因子と要因の関連は,1.6歳は【健康意識・生活習慣】「はい」の回答が多い高得点と卵,果物の低摂取,甘い菓子,塩味菓子の高摂取,経済的ゆとりなし,時間的ゆとりなし,【食事の雰囲気・内容】高得点と緑黄色野菜,その他の野菜,海藻,果物の低摂取,経済的ゆとりなし,【食事への関心・意欲】高得点と魚,卵,緑黄色野菜の低摂取,甘味飲料・甘い菓子の高摂取,経済的ゆとりなし,【食経験・行動】高得点と穀類(パン)の高摂取,経済的ゆとりなしが関連した。3歳は,【健康意識・生活習慣】高得点と大豆・大豆製品,緑黄色野菜,果物の低摂取,塩味菓子,ファーストフードの高摂取,経済的ゆとりなし,【食事の雰囲気・内容】高得点と魚,大豆・大豆製品,緑黄色野菜,その他の野菜,海藻,果物の低摂取,男児,時間的ゆとりなし,【食事への関心・意欲】高得点と穀類(ごはん),大豆・大豆製品,緑黄色野菜,その他の野菜,海藻,果物の低摂取,塩味菓子の高摂取,出生順位1位,【食経験・行動】高得点と男児であった。

    結論 離乳期以降の児を持つ保護者が抱える4つの心配事因子を抽出し各因子と集団特性との関連要因が明らかとなった。

  • 酒井 亜月, 由田 克士, 高橋 孝子, 岡部 哲子, 佐々木 ルリ子, 石田 裕美, 緒方 裕光, 原 光彦, 吉岡 有紀子, 野末 みほ ...
    論文ID: 23-059
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/01/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 近年,世帯収入と食事摂取状況との関連について研究が進んでいるが,成人や児童を対象としたものが多く,幼児をターゲットとした研究はほとんど認められない。収入による食生活への影響に起因した健康格差を是正するためには,学童期や成人期以降のみならず,幼児期からの対策が講じられる必要があると考える。本研究では,児童福祉施設(以下保育所)に通う3~6歳の幼児を対象に,等価所得と食品群別摂取量および食事バランスガイドの指標との関連を明らかにし,より望ましい対策を講ずるための根拠を得ることを目的とした。

    方法 2019年あるいは2020年の10~12月の連続しない平日2日と休日2日の計4日間について秤量記録法または目安量記録法による食事調査と,食生活状況に関する自記式質問紙調査を実施した。対象者は全国の7都市の保育所に通う幼児761人(男児423人,女児338人)である。食生活状況調査で得られた1年間の世帯収入と家族人数から等価所得を求め,5分位で5群に分けて食品群別摂取量を比較し,東京都が作成した幼児向け食事バランスガイドの指標を用いて各群のサービング数未満の幼児の割合を比較した。

    結果 等価所得群間に身長,体重,肥満度の差はみられなかった。等価所得が高い群ほど穀類の摂取量は減少傾向にあり,砂糖・甘味料類,緑黄色野菜,乳類の摂取量は増加傾向にあった。料理区分でみると,平日では等価所得が高い群ほど主食のサービング数は減少傾向に,副菜,牛乳・乳製品,果物は増加傾向にあった。また,牛乳・乳製品では,食事バランスガイドの目安量未満の児の割合が5群間で有意差が認められ,Q1で最も多かった。

    結論 等価所得が低い群ほど穀類の摂取量が多く,野菜,果物の摂取量が少なかったことは,成人や児童を対象とした研究とほぼ同様の結果を示した。保育所に通う幼児において,世帯の経済状況と食品群別摂取量が関連することが示唆された。幼児期の所得による格差を是正する対策と幼児をもつ世帯全体に向けた対策など多角的な支援が求められる。

  • 渡部 明人, 齋藤 英子
    論文ID: 23-089
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/01/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 UHC2030は,2019年のUHC政治宣言のフォローアップのため,2020年から国連加盟国のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC: Universal Health Coverage)達成に向けた公約の進捗レビュー事業を実施し,UHC推進がとくに望まれる国の特定や,ステークホルダーへの働きかけ等の活動にも取り組んできた。本稿では,筆頭著者がUHC2030として取り組んできたUHC達成に向けた各国の現状と課題を特定するための公約の進捗レビュー事業を,日本の公衆衛生専門家に広く紹介するための総括として作成し,とくにその中から自発的国家レビューに関する本事業の調査結果を抜粋して解説した。

    方法 UHC達成に向けた各国政府のエビデンスに基づく説明責任に関する行動を把握するため,国連ハイレベル政治会合(HLPF: High-level Political Forum)における,初期5年間の自発的国家レビュー(VNR: Voluntary National Review)報告書(2016年から2020年,187報告書)における,UHCや保健システムに関するすべての記載(量的および質的情報)を包括的にレビューした。さらに,2021年7月時点で入手可能だった最新のVNR報告書(40報告書)における記載と比較し,各国政府のエビデンスに基づく説明責任に改善がみられたかを評価した。

    結果 2021年と初期5年間のVNR報告書を比較したところ,UHCや保健システムに関する各国のエビデンスに基づく説明責任の取り組みが拡充されていることがわかった。他方,国連統計として公表されているUHCや保健システムに関するデータ量と比べ,説明責任の場で指標が十分利用されていない。

    結論 2023年9月にはUHC政治宣言フォローアップ会合およびSDGs中間レビューが国連総会で開催されたが,一部のUHC達成目標が2025年に延期され,2030年の目標達成も困難な状況となってきている。既存の国連統計を用いた政府のエビデンスに基づく説明責任の強化と,すでに合意された政治宣言の実施によるUHC推進のさらなる強化が喫緊の課題である。

  • 黄 辰悦, 印南 一路
    論文ID: 23-090
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/01/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 本研究の目的は,ハローワークが提供する介護職員初任者研修コースに対する求職者の受講行動を促す政策手法を発見することである。

    方法 行動経済学の知見から行動変容を促す手法としてナッジを取り上げ,ナッジに基づく施策を従来の施策と比較した上でその効果を検証した。調査は2回にわたるWeb配信によって実施された。1回目のWeb配信では,①参加同意者の募集,②基本属性と対象者の条件等に関する1回目のWebアンケートの配信,③受講案内の配信を①,②,③の順で実施した。具体的には,1回目のWebアンケートに回答した参加同意者50,000人を無作為に8群に割り付け,介入群にはそれぞれ3種類のナッジ(損失回避ナッジ,共感ナッジ,長期利得ナッジ)とその組み合わせに基づく受講案内,統制群には従来厚生労働省が用いてきた受講案内をWeb上で提示した。介入2週間後に,1回目のWebアンケートの結果から対象者の条件を満たした2,404人を抽出し,彼ら・彼女らを対象に行動変容ステージ(前熟考期,熟考・準備期,情報探索期,実行期)に関する2回目のWebアンケートを配信し,1,995人から回答を得た。分析は,ナッジに基づく介入を説明変数,介入後行動変容ステージを被説明変数とし,性別,年齢,学歴,婚姻状況,介入前介護職に対する興味,介入前行動変容ステージを調整変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。

    結果 分析対象は1,995人であった。介入群に属する対象者1,756人のうち321人(18.3%)が熟考・準備行動,102人(5.8%)が受講に関する情報探索行動,50人(2.8%)が受講行動をとった。統制群に属する対象者239人のうち38人(15.9%)が熟考・準備行動,31人(13.0%)が情報探索行動,2人(0.8%)が受講行動をとった。二項ロジスティック回帰分析の結果,従来の施策は受講に関する情報探索行動の促進まで有効であったが,最終目的である受講行動の促進には損失回避ナッジ,共感ナッジ,長期利得ナッジを組み合わせた施策が効果的であった(オッズ比:5.39, 95%信頼区間:1.18~24.74, P=0.03)。

    結論 介護職員初任者研修コースに対する求職者の受講行動を促進するには,従来の施策や単一のナッジよりも,複数のナッジを組み合わせた施策の導入が必要であることが示唆された。

  • 杉田 由加里, 鈴木 悟子, 齋藤 良行, 赤松 利恵, 田原 康玄, 中山 健夫
    論文ID: 23-062
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/12/21
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 特定健康診査(以下,特定健診)の問診において利用者に保健行動を尋ねることは,日頃の保健行動への気づきを促し,改善意欲を惹起する第一歩となる。特定健診の標準的な質問票は22項目からなり,特定保健指導の階層化に必要な項目以外を問診票に用いるかは任意となっている。標準的な質問票の活用の実態を明らかにすることは,2024年度から始まる第4期特定健診・保健指導の運用方法に資する資料を提示できると考えた。

     本研究の目的は,標準的な質問票を,①特定健診の問診票に用いているか,②特定保健指導や生活習慣病予防を目的とした保健事業に活用しているか,③データヘルス計画の立案・実施・評価において利用しているかを明らかにすることである。

    方法 全国の全市区町村の国民健康保険担当部署(以下,市町村国保)1,741か所,全国健康保険協会(以下,協会けんぽ)支部47か所,健康保険組合(以下,組合健保)1,391か所の特定健診・保健指導業務の主担当者1人,合計3,179人に対して,特定健診,特定保健指導の実施状況に関する自記式の調査を実施した(2022年2月)。調査の実施にあたり筆頭著者の所属機関の倫理審査委員会の承認を受けた。

    結果 有効回答数は1,221件(38.4%)であり,内訳は市町村国保が816件(46.9%),協会けんぽが47件(100%),組合健保が358件(25.7%)であった。特定健診の問診票に標準的な質問票の全項目を用いていたのは,集団方式では96%以上,個別方式では93%以上の保険者であった。しかし,『生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば,利用しますか』については,187件(18.2%)が活用しづらいという回答であり,特定保健指導の利用が希望制であると誤解されるという理由であった。また,データヘルス計画における標準的な質問票の利用状況については,5割にとどまっていた。

    結論 実態から,標準的な質問票の全項目を必須な項目としても運用に差し支えない状況と考える。しかし,『生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば,利用しますか』については改変の必要性がある。標準的な質問票の活用には地域の健康状態の比較に資することが意図されている。データヘルス計画における標準的な質問票の利用について,保険者および支援する者はさらに積極的な利用となる工夫が必要である。

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