日本公衆衛生雑誌
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歯列・咬合異常が高校生の心身の健康意識に及ぼす影響
井上 さやか田渕 英一今村 知代野口 誠古田 勲
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2008 年 55 巻 11 号 p. 768-776

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抄録

目的 高校生を対象に歯科検診および質問紙による調査を実施し,歯列・咬合異常が現代の高校生の心身の健康意識に及ぼす影響について調べた。
方法 健康意識に関する質問紙による調査および歯科検診を実施し,検診結果の記入後に質問紙を回収した。歯科検診により歯列・咬合異常の程度を“異常なし”,“要観察”,“要精検”の 3 群に分類した後,歯列・咬合異常の程度と心身の健康意識との関連性について有意検定を行った。
結果 歯列・咬合異常の程度が顕著になる群ほど,1)歯列・咬合異常をより強く自覚し,咬合不全をより意識した(P<0.001)。2)健康意識に対してはネガティブな自己評価をした(P<0.001)。
結論 歯列・咬合異常がネガティブな自己評価と結びつき,精神的ストレスを引き起こす要因の一つとなっている可能性が示唆された。歯列・咬合異常をもつ若年者を早期に発見し,正常な歯列や咬合を指導・育成することは,咀嚼を正しく行うことだけでなく,健全な精神的発育を促すためにも重要であると考えられた。

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© 2008 日本公衆衛生学会
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