目的 多死社会を迎える離島地域で,看取り体制の構築に向けた示唆を得るために,離島地域での看取りの実態および在宅療養•死亡場所にかかわる特徴を入院施設の有無別に明らかにすることを目的とした。
方法 離島振興法等に指定された 1 島 1 市町村中 5 島を抽出し,要介護認定を受け,2009年 4 月 1 日~2011年 7 月31日の期間に亡くなった65歳以上の療養者の介護者(85人)を対象とした。Mixed Method の埋め込みデザインを採用し,調査票を用いた半構造化面接を行い,死亡場所,死亡年齡,性別,死亡原因疾患,療養希望場所などについて尋ねた。
結果 入院施設なし群の自宅死亡の割合は39.0%(41人中16人)で,入院施設あり群の18.2%(44人中 8 人)に比べて,有意(P=0.029)に高かった。自宅死亡のうち,がんで亡くなった人は,24人中 6 人で,①家族介護力があること,②往診医が確保されていること,③疼痛コントロールが可能なことの 3 つの条件を満たした場合,入院施設の有無にかかわらず,離島地域でも看取りの可能性が高い疾患であることが示された。また,入院先の医療職から在宅療養を勧められ,島内の自宅で亡くなった者がいた。
結論 在宅療養を支援する専門職は,療養者の疾患の特性や家族の情報をいち早く捉え,医療職との連携に努めることの重要性が示唆された。