日本公衆衛生雑誌
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原著
中学生・高校生におけるメディア利用と生活習慣の関連
佐野 碧岩佐 一中山 千尋森山 信彰勝山 邦子安村 誠司
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2020 年 67 巻 6 号 p. 380-389

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抄録

目的 近年,メディア(インターネット,ゲーム,ソーシャルネットワークサービス等)の長時間利用や利用年齢の若年化が問題視されている。子どものメディアの長時間利用は,身体的・精神的・社会的側面から成長発達に望ましくない影響を与える可能性が指摘されている。とくに,中学生・高校生はこれまで獲得した基本的な生活習慣を自己管理していく重要な時期であり,日常生活で利用するメディアと上手に付き合っていく能力を培う必要がある。そこで,本研究では,中学生・高校生におけるメディア利用時間と生活習慣の関連について検討した。

方法 福島市内の全中学校・高校の生徒から1,633人を抽出した。市内の各校学校長に配布を依頼して自記式質問紙調査を実施し,1,589人より回答を得た。性別・学年が未記入だった者30人を分析から除外し1,559人を分析の対象とした。主観的健康感,生活習慣,飲酒・喫煙経験に関する項目を従属変数,メディア利用時間を独立変数とし,性・学年を調整し,二項ロジスティック回帰分析を行った。

結果 中学生では,3時間以上のメディア利用は,「朝食欠食」,「運動習慣なし」,「就寝起床時間(不規則)」,「休養不足」,「ストレスあり」と有意な関連を示した。高校生では,3時間以上のメディア利用は,「健康感(不良)」,「3食食事を食べていない」,「朝食欠食」,「食品多様性(低い)」,「肥満」,「運動習慣なし」,「就寝起床時間(不規則)」,「就寝時間遅い」,「起床時間遅い」,「飲酒経験あり」,「喫煙経験あり」と有意な関連を示した。

結論 中学生,高校生ともに,3時間以上の長時間のメディア利用は,睡眠,食事,身体活動の生活習慣全般および飲酒,喫煙との関連を認めた。さらに,長時間のメディア利用は,主観的健康感との関連も示された。メディアの過度な利用が生活習慣や心身の健康に関与していることを,中高生自身が理解し適切に利活用できるよう教育体制を構築することが重要である。

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© 2020 日本公衆衛生学会
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