2024 年 71 巻 10 号 p. 637-648
目的 本研究は公立学校の教員が直面しているネット・ゲームに関連する問題を明らかにし,それに対する課題を把握することを目的とした。
方法 2021年9月から11月に,埼玉県の公立学校教員400人を対象として無記名電子質問調査を行い,352人より有効回答を得た。質問項目は,属性,ゲーム障害の知識,ネット・ゲームによる問題を有する生徒(以下,該当児童生徒とする)の在籍,ネット・ゲームの問題対応の難しさ,ネット・ゲームによる問題の予防や早期発見の困難理由,教員が希望する支援,とした。教育役割別,学校種別,ゲーム障害の知識別に集計し,Fisherの直接確率検定ならびに調整済み標準化残差を用い検討した。
結果 調査の結果,ゲーム障害に関する知識を知っていると回答した教員は63.1%であった。該当児童生徒が在籍するとの回答は49.4%で,中学校(58.2%)が有意に高かった。学校における予防や早期発見のための活動,該当児童生徒への対応,保護者への対応において,教員の約半数がいつもまたはしばしば困難を感じていた。問題の発見契機は「昼夜逆転などの生活リズムの変調」(51.7%)「遅刻早退の増加」(34.7%)が挙げられた。主な対応は「家庭との相談・情報共有」(48.6%)「該当児童生徒に教諭のみで指導」(34.1%)であった。指導困難理由は,「家庭への指導や働きかけに限界」(61.4%)「介入や支援できない・効果なし」(62.5%)であった。教員が希望する支援は,「依存回復等のプログラム」(56.8%),「保護者の注意喚起のプログラム」(56.0%),「GD(ゲーム障害)/IGD(インターネットゲーム障害)の理解を深める職員研修」(50.5%)が高かった。教育役割,学校種別,ゲーム障害の知識別では異なる特徴が確認された。
結論 教員はネット・ゲームの問題を家庭の問題ととらえ,家庭教育の補助的な支援を行う傾向がうかがえた。また教員はネット・ゲームの問題を抱える児童生徒の対応に困難を感じていた。教育役割や学校種別により必要な支援は異なり,小学校と特別支援学校は学級や学校全体での指導や気がかりな児童生徒と保護者の指導に活用できる教材が,中学校ではスクールカウンセラー等との相談体制や保健医療との連携,高校では社会的な支援も含めた具体的な支援が必要であると考えられた。