日本公衆衛生雑誌
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原著
新型コロナウイルス感染拡大下における高齢者のグループ活動の活動実態と再開・継続に関連する要因の検討
野中 久美子村山 幸子杉浦 圭子村山 洋史
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2025 年 72 巻 4 号 p. 261-271

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抄録

目的 本研究の目的は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19;以下,コロナ)拡大に伴う1回目の緊急事態宣言(以下,宣言)発令期間中および宣言解除後での高齢者の健康維持や交流を目的とした自主グループ活動(以下,グループ活動)の活動実態とその関連要因を検討することである。それにより,自治体や地域包括支援センター等の専門職がコロナ禍など非常時にグループ活動の再開や継続を支援する際に活用できる知見を提示する。

方法 2020年11月に,東京都A区内の町会・自治会とシニアクラブの会長372人を対象に質問紙調査を実施した。町会・自治会とシニアクラブが主体で開催する高齢者のグループ活動について,2020年4~10月での各月の活動形態を「活動を自粛・休止」,「工夫して活動を実施」,「通常通り活動を実施」から選択するように求め,潜在クラス分析により活動パターンを類型化した。活動パターンを従属変数とした多項ロジスティック回帰分析により,宣言発令期間中および解除後での活動パターンの関連要因を検討した。説明変数として,感染拡大前での開催内容の多様さ,開催頻度,参加者の平均人数,ボランティア・世話役(以下,世話役)の平均人数,80歳以上高齢者の有無,グループ内ソーシャルキャピタル,感染拡大前および宣言発令期間中の世話役と参加者との連絡頻度を投入した。欠損値は多重代入法により補完した。

結果 分析対象は206グループであった。潜在クラス分析により4活動パターンに分かれた:「自粛・休止群」,「工夫して再開群」,「工夫して継続群」,「通常通りで継続・再開群」。「自粛・休止群」を基準カテゴリーとした多項ロジスティック回帰分析の結果,宣言発令期間中に参加者と週1回以上連絡を取っていたことが「工夫して継続群」(オッズ比=5.25,95%信頼区間=1.19–23.21)と「通常通りで継続・再開群」(オッズ比=4.37,95%信頼区間=1.07–17.82)に関連していた。また「工夫して再開群」では,開催頻度が月2回以上(オッズ比=3.12,95%信頼区間=1.10–8.87),世話役数が6~10人(オッズ比=0.32,95%信頼区間=0.11–0.89)も関連していた。

結論 コロナ禍など非常時にグループが活動を再開・継続するためには,自治体・専門職は,宣言発令期間中だけでなく平常時からグループ内のコミュニケーションが円滑になるようにグループ活動を支援する,世話役数が多いグループを積極的に支援していく必要性が示唆された。

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