2026 年 73 巻 4 号 p. 381-393
目的 本調査は,ICT(Information and Communication Technology)を利活用した健康づくりのための環境整備に向けて,全都道府県における健康増進アプリ(以下,健康アプリ)の導入の有無とその内容を明らかにすることを目的とした。
方法 全都道府県を対象とし,2024年8月6日から9月3日までの間に,都道府県の公式ホームページ及び都道府県が運営する健康増進事業や健康アプリの特設サイトから情報を収集した。調査項目は,2024年度における健康アプリの導入の有無,導入期間,開発主導者,対象者,利用実績,機能とし,機能は行動記録,健康管理,健康情報取得,競争性,ゲーム性,インセンティブの6つに分類して整理した。
結果 健康アプリを導入していたのは34都道府県(72.3%)であった。健康アプリの導入開始年は2014年度から2024年度であった(期間限定事業を除く)。アプリの開発主導者は,自治体と民間企業に分かれ,開発主導者が自治体の場合は,歩数や健康管理に加えて,健診受診やイベント参加等を含む幅広い機能を有する傾向にあった。一方,民間企業の場合は,単一または少数の機能を有するアプリを自治体が活用する傾向にあった。民間企業のアプリでは,利用者が居住地等の該当する自治体を設定して利用する仕組みを設けている場合が多く,自治体がアプリ内のイベントやキャラクター,インセンティブのような主要機能以外の一部を,独自の仕様にできる工夫が採用されていた。機能に関しては,行動記録では歩数(33都道府県)が最も多く採用され,次いでイベント参加(21都道府県),健診受診(18都道府県)であり,健康管理では,体重(28都道府県)が最も多く,次いで消費カロリー(22都道府県),血圧(19都道府県)が多く,取得できる健康情報の内容では,運動の方法(11都道府県)が最も多かった。また,行動変容やアプリ利用継続の動機付けを図るために,歩数やポイントのランキングといった競争性(28都道府県)や,キャラクター等を収集や育成といったゲーム性(13都道府県),優待や抽選,その他条件付(ランキング上位者に限る)によるインセンティブ(30都道府県)を取り入れている都道府県があった。
結論 本調査は,全都道府県における健康アプリ導入の実態を,機能の内容も含めて明らかにした。今後の自治体でのICTを活用した健康づくり施策の検討において参考になることが期待される。