日本公衆衛生雑誌
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住民主体での活動を目指した介護予防事業終了後の介護予防活動への参加に関連する要因の検討
西田 和正河合 恒伊藤 久美子江尻 愛美大渕 修一
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論文ID: 20-092

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抄録

目的 2015年度に介護予防・日常生活支援総合事業が導入され,住民主体の介護予防活動は,より重要性が増している。自治体の介護予防事業においても,終了後に参加者を住民主体の介護予防活動へ効果的に繋げることが必要である。本研究では住民主体の介護予防活動への参加を促進する取り組みを行った介護予防事業終了者の,その後の住民主体の介護予防活動への参加要因を明らかにすることを目的とした。

方法 東京都A区の一般介護予防事業の2教室を対象とした。この教室では,心身機能改善とともに事業終了後の参加者の自主グループ化を支援するための学習やグループワークを導入している。本研究では,2016・2017年度に同事業参加者に対して実施した,事業開始3か月後(以下,T1)と事業終了6か月後(以下,T2)の自記式アンケートを分析した。有効回答数は216人(男性:51人,女性:165人,年齢:65-95歳)であった。T1では参加教室,健康度自己評価,基本チェックリスト,ソーシャル・キャピタルの「近隣住民との交流」,「グループや団体への参加の有無」,「近隣住民への信頼」,「近隣住民が他の人の役に立とうとすると思うか」を調査した。T2では住民主体の介護予防活動として,介護予防自主グループへの参加の有無を調査した。住民主体の介護予防活動への参加の有無と調査項目との関連をロジスティック回帰分析で検討した。

結果 参加群は113人(52.3%),不参加群は103人(47.7%)であった。住民主体の介護予防活動への参加の有無を従属変数,各調査項目を独立変数として個別に投入した単変量のモデルでは,「参加教室」(オッズ比:0.31,95%信頼区間:0.15-0.63,P=0.001),「近隣住民への信頼」(オッズ比:5.30,95%信頼区間:1.46-19.16,P=0.011)が介護予防活動への参加と有意に関連していた。すべてを独立変数として投入した多変量のモデルでは,「参加教室」(オッズ比:0.29,95%信頼区間:0.14-0.62,P=0.001)が有意な関連要因であった。

結論 事業における積極的な取り組みを通して約5割が住民主体の介護予防活動へ繋がっていた。住民主体の介護予防活動参加の関連要因は,「参加教室」であり,教室の開催頻度などプログラムの内容が事業終了後の住民主体の介護予防活動参加に影響すると考えられた。

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