日本公衆衛生雑誌
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情報通信技術機器利用者における自然災害時に想定される情報収集手段の特徴
根本 裕太桜井 良太松永 博子藤原 佳典
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論文ID: 21-023

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抄録

目的 自然災害時において,情報通信技術(ICT)機器を用いることで,迅速に多様な情報を収集できる。本研究では性別・年齢階級別のICT機器利用状況を示し,ICT機器利用者における自然災害時に想定される情報収集の特徴を明らかにすること,インターネットを介した情報収集手段に関連する人口統計学的要因を解明することを目的とした。

方法 東京都府中市の18歳以上の住民21,300人を対象に郵送調査を実施した。ICT機器は,パソコン,スマートフォン,タブレット端末,携帯電話の利用状況を調査し,いずれかの機器を利用する者をICT機器利用者とした。自然災害時に想定される情報収集手段として,テレビ,ラジオ,インターネット検索,緊急速報メール,防災行政無線,行政機関のホームページ,近隣住民,家族,友人から該当するものをすべて選択してもらった。このうち,インターネット検索,緊急速報メール,行政ホームページを,インターネットを介した情報収集手段とした。ICT機器利用割合の性差と年齢階級差ならびにインターネットを介した情報収集手段に関連する人口統計学的要因を検討するため,ロバスト分散を用いたポアソン回帰分析を実施した。

結果 9,201人(回答率43.2%)から有効回答を得た。ICT機器利用者は,70歳未満では95%程度以上,80歳以上では女性66.7%,男性70.6%であった。ICT機器利用者の災害時に想定される情報収集手段は,インターネット検索を選択した者は,女性では60歳未満,男性では70歳未満の70%以上であったが,80歳以上の女性では7.8%と低かった。インターネットを介した情報収集手段に関連する人口統計学的要因は,インターネット検索では,女性,世帯収入が高い者,教育年数が長い者,配偶者がいない者で選択する者が多く,同居者がいる者や高年層,とくに高齢女性では少なかった。緊急速報メールを選択した者は,女性,教育年数が長い者で多く,高年層,配偶者がいない者では少なかった。行政ホームページを選択した者は,女性,教育年数が長い者で多く,同居者がいない者,配偶者がいない者や高年層,とくに高齢女性で少なかった。

結論 ICT機器利用者における災害時に想定される情報収集手段は性や年齢階級により異なることが示され,インターネットを介した情報収集手段に関連する要因は情報収集手段によって異なることが示唆された。

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