論文ID: 21-092
目的 子宮頸部細胞診とHPV検査に関して,医師採取と自己採取での結果評価を行うことを目的とした。
方法 対象者は日本予防医学協会附属4診療所にて子宮頸がん検診を受診した受診者で研究に同意した者とした。診療所での子宮頸がん検診受診後,約1か月の間隔をあけて,加藤式自己採取容器により自己検体を採取し,郵送により提出する方法を用いた。得られた同一受診者の医師採取と自己採取による細胞診およびHPV検査の結果を評価した。結果の評価に関してはχ2検定とκ分析を用いた。
結果 医師採取と自己採取の両採取法を施行した同一受診者134人の比較では,細胞診の有所見率は医師採取6.0%,自己採取2.2%で医師採取が高かったが,統計学的な有意差は認められなかった。しかし,自己採取では子宮頸管内膜細胞の採取ができていなかった。HPV検査の陽性率は同一受診者148人において,医師採取および自己採取で14.2%を示し,差を認めなかった。しかしHPV18型は自己採取法でのみ1例が陽性であった。
結論 本研究結果により,自己採取による検討や液状細胞診の導入およびHPV検査との併用の研究を進める必要性が示唆された。