論文ID: 23-106
目的 本研究は,医療的ケア児のライフステージに沿って,児や家族に対してどのような協働が実践されているか,報告されている文献の整理により明らかにすることを目的とした。
方法 JBI scoping review mannualに則ったスコーピングレビューを実施した。検索データベースはPubMed,CINAHL,医中誌を使用した。検索ワードとして,「collaboration」「Intersectoral Collaboration」「children with medical complexity」「children with special healthcare needs」「協働」や統制語,「医療的ケア児」「重症心身障害児」など複数の用語を組み合わせ検索した。対象文献の包含基準は,日本で医療的なケアが必要な児(0歳~18歳)に対する実践で,専門職種間による協働について報告しているもの,レビュー論文やプロトコル論文を除いた研究論文,英語または日本語論文とした。分析は,対象文献より協働に関する実践について抽出し,内容の類似性に基づいて分類後,ライフステージに沿ってまとめた。なお,文献の選定およびデータ抽出,分析は3人の研究者間でコンセンサスが得られるまで討議した。
結果 分析対象は30文献であった(日本語27文献,英語3文献)。出版年は,14文献が直近3年以内に発表されていた。また,症例報告・実践報告は19文献・26事例で,専門職が対象の文献は11文献(量的研究:1文献,質的研究:10文献)であった。協働の実践内容は160件が抽出され,9つのカテゴリーに分類された。≪退院支援≫は,未就学児がすべてのサブカテゴリーの実践が報告されていたのに対し,就学児は,5つのサブカテゴリーのうち,2つの報告にとどまった。一方で≪幼・保・学校における維持期≫は,未就学児が7つのうち2つのサブカテゴリーで実践が報告されていたのに対し,就学児はすべてのサブカテゴリーで実践の報告があった。また,協働に関係する専門職に着目すると,医療・福祉・教育・行政と幅広い分野の専門職が関係していた。
結論 協働の実践は各ライフステージで報告に差があった。また,関係する専門職は多岐に及ぶが,実践の報告は専門職に偏りがみられた。今後は,児やその家族を中心とした各種専門職間の協働の実践内容について調査していく必要がある。