日本公衆衛生雑誌
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日本国内で実施された産婦の抑うつや不安を軽減する支援方法とその効果:文献レビュー
羽入田 彩花佐々木 渓円上原 里程
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キーワード: 産後ケア, 産後うつ, 不安, 支援
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 24-042

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抄録

目的 我が国において,出産後1年以内の産婦に対して様々なケアが実施されている。本研究では,日本国内で実施された産後のケアに関して,体系的な文献レビューを行い,産婦の抑うつや不安を軽減する支援方法とその効果を明らかにすることを目的とした。

方法 PubMed,医学中央雑誌,CiNii Research,Cochrane Libraryを用いて,2023年8月までに日本語または英語で出版された文献を検索した。日本国内の分娩施設退所後から出産後1年以内の産婦を対象として,支援を実施し,抑うつや不安の変化を評価した原著論文を採用した。採用した文献は,研究デザイン,対象人数,介入時期,支援方法,評価時期,主な結果の項目で整理し,支援方法と抑うつや不安に対する効果を検討した。

結果 PubMed,医学中央雑誌,CiNii Research,Cochrane Libraryから合計22件を採用した。産後から開始した支援では,出産病院による支援,産後ケア事業,運動支援,母子のスキンシップによる支援が,産婦の抑うつや不安を軽減していた。また,妊娠期からの継続的な支援では,特定の助産師による継続支援,産婦の健康状態やニーズの評価に基づいた包括的な支援が,産婦の抑うつや不安を軽減していた。その他に,産後2週間健康診査,育児生活の現状評価に基づくコーチング,アプリで医師や助産師に相談できるサービス,子育て教室,在日中国人を対象とした日本との文化の差異に着目した支援,ソーシャルサポートが,産婦の抑うつや不安を軽減していた。これらの支援のうち8件は,医師や看護職等の多職種で提供されていた。

結論 支援方法によっては,産婦の抑うつや不安を軽減したとする報告が散見された。支援体制として,産婦の健康状態やニーズの評価に基づいた包括的な支援計画を作成すること,産後ケアを医師や看護職等の多職種が連携して提供することは,産婦の抑うつや不安を軽減する可能性が考えられる。

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