論文ID: 24-088
目的 本研究の目的は,日本における0歳の多胎児を養育する父親の心身の健康状態と生活実態について,単胎児を養育する父親と比較し,健康課題と支援の必要性に関する示唆を得ることである。
方法 国民生活基礎調査の世帯票と健康票のデータ(2016, 19, 22年)を用いた。単年では多胎児の父親のサンプル数が少ないため,大規模調査3回分のデータを結合し,健康状態と生活状況,相談状況に関して,多胎児と単胎児の父親のクロス集計を行った。分析にはt検定とフィッシャーの正確確率検定を用いた。
結果 多胎児の父親は,単胎児の父親と比較して睡眠時間5時間未満の割合が有意に高かった。また,悩みやストレスの原因で「育児」が有意に高かった。メンタルヘルスを評価する尺度であるK6の得点が10点以上の割合に有意差は認めなかったが,多胎児の父親では健康日本21(第三次)の目標値よりも高い割合だった。悩みやストレスの相談状況に多胎児と単胎児に差はなかったが,どちらも公的機関を利用している割合は極めて低かった。
結論 日本における代表性のあるデータを用いて0歳の多胎児の父親の健康状態と生活状況について記述し,多胎児の父親の健康課題と支援の必要性が示唆された。多胎児の父親は,睡眠時間が短い割合と「育児」に悩みやストレスがある割合が高く,K6得点が政府目標よりも高い割合であったことから,メンタルヘルスに気を配る必要があること,多胎児の父親支援のための知見の蓄積が必要であること,父親の育児支援の受け皿を整備する必要性が示唆された。