日本公衆衛生雑誌
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国保データベース(KDB)システムを利用した中高年向けの運動教室の効果評価
丹野 祐美延原 弘章関 美雪津野 陽子柴田 亜希
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論文ID: 24-136

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抄録

目的 本研究では医療費の抑制効果が示唆されている中高年向けの運動教室の長期的な評価として,過去に後ろ向きコホート研究により医療費比較を行った対象者に対して8年間の追加の追跡を行い,KDBシステム等を利用して医療費に加え,介護給付費,生存率,自立率について比較検証した。

方法 運動教室の参加者と非参加者で1対1のマッチングを行った416組(832人)に対する追加フォローアップとして2015年4月1日から2023年3月31日までの8年間追跡を行った。生存率および自立率の比較は2015年3月31日までに要介護2以上の要介護認定を受けていたペアを除外し410組(820人)を分析対象とした。医療費および介護給付費の比較は,2023年3月31日まで国民健康保険または後期高齢者医療保険の被保険者であった345組(690人)を分析対象とした。分析方法として,参加群と対照群で平均値を比較し,医療費および介護給付費の比較には対応のあるt検定,受療者の比較にはマクネマー検定を用いた。生存率および自立率は生存時間分析用データを用いてカプラン・マイヤー法により,両群ごとに8年生存率および8年自立率の算出ならびに生存曲線および自立曲線の作成を行い,層別ログ・ランク検定を行った。なお,統計的有意水準は両側検定で5%とした。

結果 医療費の比較では,入院医療費は参加群が対照群よりも有意に低く(P=0.009),入院外調剤医療費は参加群が対照群よりも有意に高かった(P=0.019)。介護給付費の比較では,参加群よりも対照群が施設サービス点数と合計サービス点数において高値であったが,すべての項目において有意な差はみられなかった。受療者数については,入院は対照群が有意に多く(P=0.032),入院外は参加群が有意に多かった(P=0.004)。生存時間分析では生存曲線および自立曲線ともに観察開始から対照群の生存率,自立率が低く推移し,観察期間が長くなるにつれて差が広がっていた(P=0.031, P=0.003)。

結論 参加群では死亡や自立喪失が有意に低く,入院による受療者数および入院医療費も有意に低いことから,中高年期の継続的な運動教室参加が,その後の長期的なQOLの維持や健康寿命の延伸に寄与している可能性が示された。

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