目的 日本では多くの女性が月経時,下着に装着する生理用ナプキンを使用しているが,環境意識の高まりやライフスタイルの多様化,女性の健康問題に対する理解の高まりによって近年,生理用品は大きく多様化している。とくに膣内に挿入して使用する生理用タンポンについては日本国内でも使用者が増えているのではないかと推察されるが,日本人女性における生理用タンポンの正確な使用実態は明らかでない。本研究では日本人女性における生理用タンポンの使用実態とそれに関連する心理的・社会的要因,トキシックショック症候群(TSS)などの有害事象の認知度を明らかにすることを目的として調査を行った。
方法 2024年3月に18–54歳の女性14,000人を対象にインターネット調査を実施した。生理用タンポンの使用状況について「使用している/以前使用していた/使用したことがない」のいずれかを選択することで評価し,その理由について調査した(一次調査)。さらに使用状況ごとにそれぞれ1,000人を年齢階級別に無作為に選び出し,月経症状や経済状況について調査を行い比較した。生理用タンポン使用者については生理用タンポン使用方法,有害事象の一つであるTSSの知識の有無も調べた(二次調査)。
結果 不適切回答者を除いた13,983人が一次調査の解析対象とされた。解析対象者のうち「使用している」は13.0%(95%CI:12.4–13.5),「以前使用していた」は28.8%(27.7–29.2),「使用したことがない」は58.2%(57.8–59.5)であった。「使用している」群の使用理由は下着が汚れることがほとんどない(51.7%)の割合が最も高かった。また二次調査の結果,「使用している」群において25.4%が使用前の手指衛生を実施しておらず,TSS認知度は16.3%だった。また,タンポン使用と月経症状,経済的事情との横断的関連について,「使用している」群の月経症状の申告数(平均)はほかの2つの群よりも有意に多く(3.58個,3.26個,2.96個;P<0.001),「経済的困難により生理用品が購入できなかった経験があった」と回答した割合とも関連が認められた(16.9%,6.8%,3.6%;P<0.001)。
結論 欧米と比較して日本の生理用タンポン使用者の割合は13.0%と低いが,安全な使用方法を啓発する上でこれらの使用理由や社会的要因を考慮することが重要であると考えられる。