論文ID: 25-059
目的 日本の公衆衛生的課題の1つである健康寿命の延伸に向け,介護予防事業を担う職員は,住民の互助・共助を促す地域包括ケアシステムを構築・運営する技能を習得する必要がある。そこで本研究では,全国の地域包括支援センター職員を対象に,地域づくりに関する研修上の課題を明らかにし,今後必要とされる研修ニーズを検討することを目的とした。
方法 地域包括支援センターを標榜する機関に所属する職員(以下,職員)を対象に,フォーカスグループインタビュー(FGI)を実施した。テーマティック・アナリシスの手法を参考に,語りの内容から逐語録を作成し,職員が感じている課題をコードとして抽出,カテゴリ化した。
結果 対象者は5施設(直営2か所,委託3か所)24人(平均年齢44.6歳)で,職種は保健師7人,ケアマネージャー8人,社会福祉士6人,作業療法士,理学療法士,看護師各1人であった。FGIで得られた逐語録から,132のコードが抽出され,類似性・相違性に基づき5カテゴリ,つまり5つの課題に集約された。それらは,①地域包括ケアシステム構築に向け住民の主体的活動・互助的関係・寛容性を育成する,②PDCAサイクルに基づき地域活動を進めていく,③地域包括ケアシステム構築に向け地域課題に根差し必要なリソースを確保でき自己研鑽し続けるスキルをもつ,④複雑で困難な問題を抱える対象者への支援のスキルを向上する,⑤地域間格差の是正により包摂社会の実現に貢献する,以上の5つであった。
結論 本結果は,職員が地域間格差の解消と包摂社会の実現を目指し,住民の主体性や互助関係を育成できるスキルの向上を求めていることを示した。また,データ活用に基づくPDCAサイクルの活動や,倫理的判断を伴う複雑な問題への支援スキル向上のため,事例検討などOJTの必要性も明らかになった。これらのニーズに対応できる研修プログラムを開発・実施する必要がある。