抄録
サイバーセキュリティの脅威は、プロセス制御の現場にも及ぶようになってきているが、爆発や劇毒物の漏洩などの大事故の防御という観点でのサイバーセキュリティ対策の議論はほとんどない。この論文では、サイバー攻撃による大事故の発生をハザードとして、プロセス制御の特徴を活かしたリスク軽減策とその有効性を評価するリスク評価方法を提案する。サイバー攻撃を「悪意の誤操作、悪意のセンサー異常」ととらえ、プラントの FTA で同時に異常になっては困るコントローラとセンサーを洗い出し、それらを別ゾーンに設置し、同時に陥落しないように各ゾーンに攻撃を防御する対策を立てる。そして、サイバー攻撃により大事故が発生する危険性が対策により軽減する度合いを評価し、リスクアナリシスの頻度の代わりの指標とする。