抄録
本論文では, ドライバによる左右交差自動車の確認位置の変動を考慮した無信号交差点形状の安全度評価法を提案する.この方法では, 左右交差自動車の確認位置を変数として, 自車に要求される安全確保速度を達成できる最小見通し距離を計算する. 安全確保速度とは, 自車が非優先側道路から交差点に進入するとき, 交差道路の死角から現れる自動車の中で自車に衝突する可能性がある交差自動車の最低速度である. 最小見通し距離に対する壁などの障害物を考慮した実際の交差点の見通し距離の不足分が小さいほど, より安全な交差点形状であるといえる. 提案法では, ドライバの左右確認位置ごとに一定の安全確保速度を達成できる最小見通し距離が得られるため, 左右確認位置の変動が交差点形状の安全度に与える影響について定量的に考察することができる. 提案法は, 交差点の形状データのみで潜在的に危険な交差点の抽出が可能であり, 交差点形状の安全設計に役立つと期待される.