抄録
駅での停車に関わるエラーのうち,ブレーキ時機を逸したエラー(ブレーキ時機エラー)に着目し,停車駅における「ブレーキ時機エラー」の発生要因を明らかにすることを目的とした.鉄道の駅,81駅を対象に,1ヶ月分の駅毎の運転操縦データ(走行速度やブレーキ操作など)と駅諸元(勾配など)を集計した.その直後から2年間,「ブレーキ時機エラー」の発生の有無を集計した.その結果,エラーが発生した駅(エラー駅)は14駅,エラーが発生しなかった駅(非エラー駅)は67駅であった.t検定の結果,エラー駅では非エラー駅より200m手前地点での走行速度の平均値が有意に高く,信号現示等による駅停車のための速度パターンの数が有意に多いことがわかった.また,「ブレーキ時機エラー」の発生の有無を目的変数とし,駅毎の運転操縦データと駅諸元を説明変数とするロジスティック回帰分析の結果においても,200m手前地点での走行速度の平均値と速度パターンの数が,エラーの発生要因として抽出された.