Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
細孔構造の異なる触媒と残油水素化処理反応器内での触媒充填順序の効果
水谷 洋出井 一夫藤川 貴志木下 陽介持田 勲
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2004 年 47 巻 3 号 p. 205-213

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抄録
残油の水素化処理では,物性が異なる触媒を数種類組み合わせた触媒システムを使用している。本研究では,平均細孔径の異なる3種の触媒組合せ順序に着目して検討を行った結果,細孔径が大きい順に組み合わせると,脱硫(HDS)および脱金属(HDM)活性が向上した。特に,中段触媒が触媒システム全体の性能に及ぼす影響が大きい。触媒寿命については中段触媒の細孔容積が重要であった。
一方,生成物の組成に関しては,触媒組合せ順序による顕著な差異は見られなかったが,アスファルテン分およびマルテン分の分子量分布に関しては顕著な違いが見られた。触媒システムの前段部から触媒の平均細孔径が大きい順に組み合わせることで,触媒の組合せ効果によりアスファルテンのような重質成分が効率的に分解した。また,中段触媒に平均細孔径が比較的小さい触媒を用いると,アスファルテン分の分解が抑制される一方で,マルテン分の分解が進行した。
触媒の平均細孔径が大きい順に組み合わせた場合,生成油中のアスファルテン分およびマルテン分の相溶性は高くなり,スラッジ生成が抑制できた。生成したマルテンとアスファルテンからHildebrandの溶解度パラメーター(δ)を算出し,スラッジ生成を両者のパラメーターの差から推定できた。
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© 2004 公益社団法人石油学会
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