Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
35Sトレーサー法を用いた高表面積チタニア担持モリブデン系水素化脱硫触媒上における硫黄挙動の解析
石原 篤Franck Dumeignil王 丹紅李 相国荒川 久銭 華衛井上 慎一武藤 明徳加部 利明
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2005 年 48 巻 1 号 p. 37-44

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抄録
pHスイング法で調製した高表面積で機械的挙動特性の優れたTiO2担体(134 m2·g−1)の上に含浸法によりMoを担持させて調製した触媒を用いて,Mo/TiO2触媒のジベンゾチオフェン(DBT)の水素化脱硫活性に及ぼすMo担持量の影響を検討した。その結果,16 wt%Moまで活性が直線的に向上するが,Mo担持量をさらに増やすと活性が若干低下することが分かった。さらに,35Sアイソトープトレーサー法(すなわち[35S]DBTの水素化脱硫反応)により,硫化したMo/TiO2触媒上における硫黄の挙動を解析した。同じ温度においてはMo担持量によらずH2Sの放出速度定数(kRE)はほぼ同様な値を示したのに対し,Mo担持量の増加とともに移動可能な硫黄の量(S0)は16 wt%Moまで直線的に増加することが分かった。
また,高表面積チタニア担持触媒上のMoの最適分散度(5.2 atom/nm2)は低表面積(70 m2·g−1)チタニア担体上にMoを担持したときの最適分散度(4.2 atom/nm2)より高い値を示すことが分かった。さらに,kREおよびS0の値はMoS2/TiO2触媒の活性相がTiMoS相であり,CoMoS相と同種の活性向上効果をもたらすことを示唆した(Ti原子によるMoS2活性相の活性向上)。
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© 2005 公益社団法人石油学会
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