抄録
pHスイング法で調製した高表面積で機械的挙動特性の優れたTiO2担体(134 m2·g−1)の上に含浸法によりMoを担持させて調製した触媒を用いて,Mo/TiO2触媒のジベンゾチオフェン(DBT)の水素化脱硫活性に及ぼすMo担持量の影響を検討した。その結果,16 wt%Moまで活性が直線的に向上するが,Mo担持量をさらに増やすと活性が若干低下することが分かった。さらに,35Sアイソトープトレーサー法(すなわち[35S]DBTの水素化脱硫反応)により,硫化したMo/TiO2触媒上における硫黄の挙動を解析した。同じ温度においてはMo担持量によらずH2Sの放出速度定数(kRE)はほぼ同様な値を示したのに対し,Mo担持量の増加とともに移動可能な硫黄の量(S0)は16 wt%Moまで直線的に増加することが分かった。
また,高表面積チタニア担持触媒上のMoの最適分散度(5.2 atom/nm2)は低表面積(70 m2·g−1)チタニア担体上にMoを担持したときの最適分散度(4.2 atom/nm2)より高い値を示すことが分かった。さらに,kREおよびS0の値はMoS2/TiO2触媒の活性相がTiMoS相であり,CoMoS相と同種の活性向上効果をもたらすことを示唆した(Ti原子によるMoS2活性相の活性向上)。