抄録
マクロ細孔径を有するシリカ(Q-10,Q-30およびQ-50)の表面をアルコキシド法で調製した20 wt%Co-0.5 wt%Ir-SiO2で修飾することにより,バイモーダル(二元)細孔構造を有する触媒を調製し,スラリー相でのFischer-Tropsch合成を行った。バイモーダル細孔構造の形成は,得られた触媒の細孔径分布,BET表面積および細孔容積の変化により確認した。バイモーダル触媒では,高価なアルコキシドの使用量を削減した上で,70時間以上にわたって高く安定した活性が得られた。高い活性が得られたことは,修飾に用いたアルコキシド法触媒の表面が反応に有効に寄与していることを示している。一方,バイモーダル触媒のマクロ細孔径の増加に伴って,生成物のオレフィン選択率が増加した。高いオレフィン選択率は,バイモーダル触媒のマクロ細孔内における生成物やスラリー溶媒の拡散の向上によるものと思われる。その結果,アルコキシド法Co-Ir-SiO2による修飾比率(Co-Ir-SiO2とマクロ細孔シリカQ-50の重量比)が1 : 3のバイモーダル触媒で,C2-C4生成物中のオレフィン/パラフィン比0.9が得られた。