2006 年 49 巻 2 号 p. 57-64
ブリスタリング現象は,夏季の特に暑い時期に生じるアスファルト舗装の主要な損傷の一つである。この現象は,アスファルト混合物中の連続空隙を通して外部から浸入した雨水が原因であるとされてきた。しかしながら,アスファルト舗装の表層,特にブリスタリング等の損傷が生じる箇所周辺は不透水である。つまり,ブリスタリング現象を引き起こす滞留水の要因として,液体状態での水の浸透は考えにくい。著者らは,大気中の湿気が水蒸気として透過し結露することが舗装体内への水分浸入の鍵を握る現象であることを既報で指摘した。本研究では,アスファルト舗装混合物中の水分移動機構の検討として,水および湿潤空気の透過係数に注目することにより,ブリスタリング現象において鍵となる水分浸入の要因を実験検討した研究成果を報告する。