貴金属担持シリカゲル(SiO
2)およびアルミナ修飾シリカゲル(Al
2O
3-SiO
2)のチオフェンの水素化脱硫反応に対する活性と触媒特性について検討した。Al
2O
3-SiO
2は硝酸アルミニウム(Al(NO
3)
3・9H
2O)水溶液を用いた含浸法により調製した。Pt/8 wt% Al
2O
3-SiO
2触媒は種々の担持貴金属触媒において高い水素化脱硫活性を示し,この活性は市販のCoMo/Al
2O
3系脱硫触媒の活性を上回るものであった。また,担持貴金属触媒の耐硫黄性について検討した結果,SiO
2にAl
2O
3修飾を施すことによって担持貴金属触媒の耐硫黄性は向上し,とくに担持Pt触媒において著しい耐硫黄性の向上が見られた。Pt/Al
2O
3-SiO
2触媒はチオフェンの水素化脱硫反応において,生成した不飽和C
4炭化水素に対して高い水素化能を有していた。触媒は2-プロパノールの脱水反応,クメンの分解反応,XRD,水素吸着およびFT-IRによりキャラクタリゼーションした。その結果,Pt/8 wt% Al
2O
3-SiO
2の白金の分散度はPt/SiO
2よりも著しく高く,その白金の粒子径は種々の担持貴金属触媒において最小となることが分かった。また,8 wt% Al
2O
3-SiO
2はSiO
2よりも高い酸性質を有していることが明らかとなった。さらに,8 wt% Al
2O
3-SiO
2上にはBrönsted酸点が存在することが分かった。8 wt% Al
2O
3-SiO
2担体に吸着させたチオフェンのFT-IRスペクトルより,チオフェン分子と8 wt% Al
2O
3-SiO
2のBrönsted酸点との間には相互作用があることが明らかとなった。Pt/SiO
2および8 wt% Al
2O
3-SiO
2を用いた2層型触媒のHDS活性は,これらの触媒のHDS活性を合わせたものよりも高いことが分かった。これより,Pt/Al
2O
3-SiO
2触媒におけるHDS反応にはスピルオーバー水素が関与していることが考えられる。Pt/Al
2O
3-SiO
2触媒によるチオフェンの水素化脱硫反応では,Al
2O
3-SiO
2上のBrönsted酸点およびPt粒子が活性点として作用することが明らかとなった。
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