Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
地球潮汐を利用した貯留層モニタリング手法
佐藤 光三藤田 圭吾
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2006 年 49 巻 2 号 p. 78-85

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抄録

地下流体移動の検知を目的として,潮汐変形現象を利用したモニタリング手法を提案・検証する。固体地球は外力として天体の起潮力を受けて変形し,これはさらに,孔隙内流体圧力の周期的変動を引き起こす。この圧力変動は孔隙内流体飽和率の関数として与えられる孔弾性パラメーターχ に関連付けられるため,χ を流体移動モニタリングの指標として用いることが考えられる。
長期トレンド圧力や測定誤差を含む実際の測定圧力データから地球潮汐に起因する圧力変動を抽出するために,三次スプライン補間と最小二乗法を用いたアルゴリズムについて検討した。数種類の数値実験を行った結果,適切な時間節点間隔を設定することによって,半日周潮ならびに日周潮に応じた圧力変動の抽出が可能であることが示された。
開発した解析アルゴリズムを実際に観測された圧力データに適用し,抽出された半日周ならびに日周圧力変動が地球潮汐による体積膨張によって説明できることを確認した。χ の時系列変化から,置換流体の観測坑井への到達が検知され,地球潮汐に起因する圧力変動を利用した地下流体移動モニタリングの可能性が示された。

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© 2006 公益社団法人石油学会
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