Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
水を反応媒体としたリンゴ酸酵素-亜鉛クロリン系によるピルビン酸および炭酸水素イオンを原料とした光化学的リンゴ酸合成
天尾 豊石川 満枝
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2007 年 50 巻 5 号 p. 272-277

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抄録

リンゴ酸酵素による炭酸水素イオンとピルビン酸からのリンゴ酸への変換反応と水溶性亜鉛クロリンe6(ZnChl-e6)の光増感作用によるNADP+の光還元反応とを組み合わせた光化学的リンゴ酸合成系を構築した。具体的には電子供与体であるNADH,ZnChl-e6,メチルビオローゲン(MV2+),フェレドキシン-NADP+還元酵素(FNR),NADP+およびリンゴ酸酵素(ME)からなる系である。この反応系に炭酸水素ナトリウムとピルビン酸を添加し,200 Wタングステンランプを用い可視光を照射すると光照射時間とともに定常的にリンゴ酸が生成した。また,リンゴ酸の生成とともにピルビン酸の減少が観測された。リンゴ酸合成系の反応条件を検討した結果,反応条件NADH(30 mmol·dm-3),ZnChl-e6(50 μmol·dm-3),MV2+(0.24 mmol·dm-3),FNR(4.0 units),ピルビン酸(10 mmol·dm-3),NaHCO3(10 mmol·dm-3),NADP+(0.01 mmol·dm-3)およびME(4.5 units)のときに,光照射3時間でリンゴ酸生成量は2.0 mmol·dm-3であり,ピルビン酸からリンゴ酸への変換率は20%であった。

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© 2007 公益社団法人石油学会
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