Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
シリカアルミナ粒子径による水素化分解触媒のマクロ細孔構造の制御と水素化分解活性および中間留分選択性に対する影響
小林 学十河 清二谷地 弘志石田 勝昭
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2007 年 50 巻 5 号 p. 278-282

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抄録

シリカアルミナを主成分とし,また少量のUSYゼオライトを含有する水素化分解触媒を異なる平均粒子径を有するシリカアルミナを用いて調製し,粒子径が触媒の細孔構造およびその水素化分解性能に及ぼす影響について検討した。
調製した触媒のマクロポア構造は,用いたシリカアルミナ粉の平均粒子径に依存し,粒子径が大きいほど触媒の中央細孔径は大きくなった。
調製された触媒の直留減圧軽油に対する水素化分解性能を評価した結果,300 nmまではマクロポアの細孔径が大きいほど高い水素化分解活性を示す一方で,中央細孔径が400 nm以上の触媒は逆に水素化分解活性は低下した。水素化分解活性に対し最適なマクロ細孔径,シリカアルミナ粒子径が存在することが示唆された。
中間留分選択性に関しては,マクロポア径が小さいほど高く,粒子径の小さなシリカアルミナが好ましいことが分かった。この結果は,粒子径の小さなシリカアルミナを用いることにより,分解により生成した中間留分に相当する分子がシリカアルミナ粒子の外に拡散することが容易になり,二次分解が抑制されたためであると推察される。
これらの結果から,水素化分解触媒の設計において,粒子径を最適化し高い拡散性を触媒に付与することが,中間留分選択性を損なうことなく触媒の活性を向上させることのできる有効な手段であると考えられる。

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© 2007 公益社団法人石油学会
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