Journal of the Japan Petroleum Institute
Online ISSN : 1349-273X
Print ISSN : 1346-8804
ISSN-L : 1346-8804
一般論文
ベンゾエート型紫外線吸収剤とヒンダードアミン光安定剤の相互作用
大勝 靖一竹中 宏行神山 七恵
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 51 巻 2 号 p. 95-101

詳細
抄録

ベンゾエート型紫外線吸収剤(UVA)とヒンダードアミン光安定剤(HALS)の相互作用を検討した。ベンゾエート型UVAは,その化学構造に依存して拮抗作用または相乗作用を示した。p-アミノベンゾエートは,UV光に対して高い吸光係数を有するが,HALSと拮抗作用して光酸化を促進した。これに対し,p-ヒドロキシベンゾエートは,UV吸収能をほとんど示さないがHALSと相互作用し,顕著な相乗作用を示した。従来,置換アリールp-ヒドロキシベンゾエートの光酸化防止能については光フリース転位によるベンゾフェノン型UVAの生成が関与していると考えられてきたが,一方でフリース転位を受けないアルキルp-ヒドロキシベンゾエートの光酸化防止能については十分な説明がなされていない。本研究は,この相乗効果が,ベンゾエートのHALSニトロソニウムとの反応に起源するp-ヒドロキシベンゾエートUV吸収中間体の生成,およびそのさらなる反応によるカテコール構造を持つ光酸化防止化合物の生成によって包括的に説明できるという新しい機構を提案する。

著者関連情報
© 2008 公益社団法人石油学会
前の記事 次の記事
feedback
Top