2009 年 52 巻 3 号 p. 139-142
アルコキシド法によるRu-Al2O3触媒の調製段階において,多量のブタノールで希釈した蒸留水の添加量を変化させることにより,触媒の均質な細孔径を3~7 nmの範囲で変化させた。このようにして調製した10 wt%Ru-Al2O3触媒を用い,T=503 K,P=1 MPa,H2/CO=2/1,W/F=5~10 g-catal.h/molの反応条件下において,スラリー相でのFischer-Tropsch合成を行った。触媒のX線回折のピーク半値幅から求めたRu結晶子径は細孔径とともに増大した。触媒の細孔径の増大に伴って,メタン選択率が減少し,高級炭化水素への選択率が増加することが認められた。これらの選択率の細孔径依存性は,細孔内におけるスラリー溶媒および反応生成物の拡散速度によって説明され,Ru粒子径よりも触媒細孔径の重要性が示唆された。